東京電力は16日、台風26号に伴う降雨の影響により、福島第1原子力発電所の汚染水貯留タンクを囲む堰内に溜まった水を排出したと発表した。排出した水については、いずれも15日に原子力規制委員会で了承された排出基準を満たしているという。

排出したのは、Cエリア(東・西)のノッチタンクの水と堰内の水、Eエリア、G3エリア(北・東)、H8エリア(北・南)、H9エリア、H9エリア(西)の堰内の水。台風接近に伴う降雨の影響で堰の水位が上昇したため、緊急措置として仮設ポンプの使用または当該堰のドレン弁を開いて堰内の水を堰外の地上へ排出した。

このうち、G3エリアタンクは溶接型で、多核種除去設備(ALPS)処理後の処理水(セシウムとベータ核種を除去しトリチウムを含むもの)も貯蔵している。同社は、パトロールなどで漏えいのないことを確かめたとともに、堰内の水についてもセシウムとストロンチウムを分析し、排出基準以下であることを確認したと説明している。

また、放射線物質の濃度が高いH5エリアおよびH6エリアの堰内の水については、溢水を避けるための緊急避難的措置として、これまで未使用の地下貯水槽No.7に移送し、一時的に仮貯蔵すると発表。仮貯蔵中は地下貯水槽No.7のドレン孔および漏えい検知孔で監視強化を行い、台風通過後に4,000立方メートルのノッチタンクへ速やかに移送するという。

15日に了承された排出基準は、セシウム134が1リットル当たり15ベクレル未満、セシウム137が同21ベクレル未満、ストロンチウム90が同10 ベクレル未満(簡易測定法により計測)。また、セシウム以外のその他のガンマ核種が検出されていないこと(天然核種を除く)タンク内の水質等を参考に、他の核種も含めて告示濃度基準を満たすこととなっている。