9月7日より公開され、ジェームズ・キャメロン監督の称賛とともに、ベネチア映画祭でも喝采を浴びたフル3DCGアニメーション映画『キャプテンハーロック-SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』。最初にテレビアニメ化されてから約35年、長い時を経て新しい技術で生まれ変わったハーロックが、3Dの宇宙を駆け巡る。

『キャプテンハーロック-SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』より

本作の監督・荒牧伸志氏は、アニメーションのメカニックデザイナーとして数々の作品を担当した後、『APPLESEED』(2004年公開)を始めとする3DCGアニメーションの分野で活躍を続けてきた。脚本・脚色は『亡国のイージス』『機動戦士ガンダムUC』などで知られる福井晴敏氏、映像はゲーム分野で実績のある制作会社・マーザ・アニメーションプラネット(前身はセガVE研究開発部)が同社初の劇場長編アニメーション作品として担った。

キャストでは、強烈なカリスマを持ちながら影のある人物ハーロックを小栗旬が演じ切り、三浦春馬、古田新太らの好演も光る。沢城みゆき、森川智之、坂本真綾ら人気声優らも含め、国産3DCGアニメで新しい表現に挑戦するキャスト陣も注目される。

しかしこの作品は映像的な新しさに挑戦するだけでなく、根底には原作者・松本零士氏が貫いた、ハーロックの生き方に対する信念が流れている。公開前に、松本氏にお話を伺った。

松本零士
1938年1月25日生まれ 福岡県出身 1970年代半ばから1980年代にかけては松本アニメブームを巻き起こした。代表作は『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』『宇宙戦艦ヤマト』など
撮影:荒金大介(Sketch)

60年以上を共に過ごし「とうとうここまで来た」ハーロック

――本作の企画スタートが約5年前だと伺いました。フル3DCGで立体視という、日本のアニメーションとしてはチャレンジングな手法だと思いますが、最初にお聞きになった時はどんな印象を?

作るのならば、では作ろうと。作る以上は責任が生じますし、綺麗なものを作りたい。特に劇場作品ですから、より完成度の高いものにしなくてはいけないと思いました。

――制作スタッフとはどのようなお話をしてこられましたか?

表現の方法については、かなりいろいろと意見交換をしながら進めてきました。感覚の差とか、表現の目的意識の差がありますから、そうした部分の修正です。見た目のリアルさというより、もっと精神的な部分についてですね。

――コミックに始まり、テレビアニメ、劇場版と、長い歴史をハーロックは生きて来たわけですが、新しいハーロックにお会いになっていかがでしたか?

とうとうここまで来たか、と思いました。だけど私は不思議な体験をしているんです。昭和20年代の始め、(松本氏の出身地)九州ではまだテレビ放送も始まっていない時期に、科学展でいきなり見たのがカラーテレビだったんです。それも液晶でした。丸いスクリーンでしたね。そういう不思議な体験をしているんですよ。将来こうなるな、と思ったのですが、しばらくしたらカラーテレビが出てきましたね。

――映像的にはとても先進的な体験をなさったんですね。

その頃すでに私の頭の中には「ハーロック」という言葉があったんです。小学校の時、学校の行き帰りに「ハーロックハーロック」と掛け声をかけ、気合いを入れて歩いていました。なぜハーロックになったかは自分でもわからない。気がついたらその言葉が生まれていたんです。8~9歳の頃ですから、名前としては一番古いキャラクターですね。ハーロックの形ができたのは、中学3年生の時に描いた『冒険記』というマンガでした。……続きを読む