東京電力は11日、福島第1原子力発電所の汚染水貯留タンクから高濃度汚染水が漏えいした問題で、タンク北側の観測用井戸で10日に採取した水から、放射性物質のトリチウムが1リットル当たり6万4,000ベクレル検出されたと発表した。
今回、トリチウムが検出された観測用井戸は、8月に約300トンの汚染水漏れが明らかになったタンク北側に位置する。トリチウムの値は、8日採取分の1リットル当たり4,200ベクレルと比べて約15倍に上昇し、原子力施設からの放出限度である同6万ベクレルを上回った。
このほか、9日採取分からトリチウムが1リットル当たり2万9,000ベクレル、10日採取分からストロンチウムなどのベータ線を出す放射線物質が同2,000ベクレル検出された。同社は「タンクからの漏えいの影響による可能性が高い」としている。
また、タンク南側の観測用井戸では、9日採取分からトリチウムが1リットル当たり350ベクレル、10日採取分からトリチウムが同350ベクレル、ベータ線を出す放射線物質が同21ベクレル検出された。
同社は、今後も引き続き、タンク周辺の観測用井戸の分析を行い、漏えい範囲の調査を継続していくとしている。