現在公開中のアニメーション映画『風立ちぬ』をもって引退することを表明していたスタジオジブリ・宮崎駿監督の引退会見が6日、都内で行われた。
会見には、スタジオジブリの代表取締役社長・星野康二氏を進行役に、宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーが登場。宮崎監督は「僕は何度も辞めると言って騒ぎを起こしてきた人間なので、どうせまただろうと思っている方も多いでしょうけど、今回は本気です」と、引退の意思を改めて表明した。
そう述べた一方で「後10年は仕事をしたい、車が運転できる限りはアトリエに通いたい」とも話しており、長編アニメーション映画の製作には関わらないものの、「三鷹の森 ジブリ美術館」の展示品や自身の"やりたいこと"を続けていくという。具体的なことについては「僕は自由です。やってもやらなくても自由。今はそこに頭を使わない」と話している。
現在72歳の宮崎監督は、引退理由の一つとして「『ポニョ』の時に比べると机を離れるのが30分早くなった」と年齡的な衰えについても言及し、「『風立ちぬ』は5年かかった。次の作品を考えだすと、この年齡なら(完成にかかる年数は)5年ではすまない。僕の長編アニメーションの時代は終わったんだ、もしやりたくなっても年寄りの世まい言で片付けられればと思っている」と明かしている。
また、記者の「今後も何かしらの形で世界に向けて発信してしていきたいという想いは?」という質問には、「僕は文化人にはなりたくない、僕は町工場のオヤジなので何かを発信していきたいとは思いません」と答えている。
スタジオジブリ最新作で、宮崎監督によるアニメーション映画『風立ちぬ』は、第70回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、公式上映の翌朝にはイタリア各紙が大絶賛。イタリアの老舗全国紙「CORRIERE DELLA SERA」(コリエーレ・デッラ・セーラ)では、宮崎監督の顔写真と場面カットが一面を飾り「ベネチアに夢を見せてくれる平和主義なおとぎ話。創造性、夢、愛への讃歌歌った作品だ。映画の中で『才能は10年だ』という言葉があるが、彼の場合は例外であろう」と評した。また、各誌の"星取り"でも現時点でのコンペティション部門上映作品に比べて軒並み高評価を獲得し、アニメーションとしては史上初となる「金獅子賞」への期待が高まっている。