原子力規制委員会は21日、同日に開催された定例会合で、東京電力福島第1原子力発電所(以下、福島第1原発)の汚染水貯留タンクから約300トンの高濃度汚染水が漏れた問題について、国際原子力事象評価尺度(以下、INES)で「レベル1」(逸脱)としていた暫定評価を、「レベル3」(重大な異常事象)に2段階引き上げるとの考えを示した。

福島第1原発では19日、4号機の山側のタンクから、高濃度の放射性物質を含む汚染水が周辺に漏れているのが発見された。原子力規制委員会は当初、この問題を「レベル1」と暫定的に評価していたが、漏れ出た放射性物質が数千テラ(1テラは1兆)ベクレル規模に上ると推測されることから、「レベル3」に評価を見直すことにした。

H4エリアタンクからの漏えいに伴うサーベイ結果(出典:原子力規制委員会Webサイト)

ただし、INESは健全な建物での事故を評価対象としており、今回のような応急処置として作られた施設に対して同様に評価することはふさわしいのかとの声もある。また、福島第1原発の事故は既に「レベル7」(深刻な事故)と評価されており、今回の汚染水漏れを個別に評価することが適切なのかとの意見もあることから、今後、国際原子力機関(IAEA)に確認した上で評価を決定するとしている。

同委員会は東京電力に対し、漏えい個所および汚染範囲の特定、タンクエリア周辺のモニタリング・監視強化、汚染土の回収を指示するとともに、一般排水溝を通じて海へ汚染水が流出する可能性についても調査するよう求めている。