国際通貨基金(以下、IMF)は9日、世界経済見通し(以下、WEO)の改訂版を発表した。それによると、2013年の世界経済の成長率を前回(4月)から0.2ポイント低下の3.1%、2014年も同じく0.2ポイント低下の3.8%と予測し、ともに下方修正した。一方、日本については、2013年の成長率を前回から0.5ポイント増の2.0%とし、上方修正した。

2013年第1四半期における世界経済の成長率は、4月時点ではさらなる加速が見込まれていたが、わずかな上昇にとどまった。伸び悩みの要因としては、主要な新興市場国・地域の成長鈍化、ユーロ圏の景気後退、米国の拡大ペースの遅れを挙げている。今後については、最近の伸び悩みの背景にあるブレーキは緩和するものの、回復ペースは段階的になると予想している。

一方、日本の成長については「当初見込みより力強かった」と表現。2013年の日本の成長率は、最近の緩和的な政策による信認と民需拡大を反映し、前回から0.5ポイント上昇の2%と予測した。しかし、2014年の成長率は0.3ポイント低下の1.2%と見込んでいる。

IMF最新見通し(出典:IMF Webサイト)

米国の成長率は、2013年が前回比0.2ポイント低下の1.7%、2014年が同じく0.2ポイント低下の2.7%と予測。ユーロ圏については、需要の低迷、信認低下、金融市場の分断、財政健全化の影響などが足かせになっているとし、2013年が同0.3ポイント低下のマイナス0.6%、2014年が同0.1ポイント低下の0.9%と予想している。

新興市場および途上国・地域については、2013年が前回比0.3ポイント低下の5%、2014年が同じく0.3ポイント低下の5.4%に下方修正。これは、インフラのボトルネックをはじめ、輸出成長の減速、国際商品価格の下落、金融の安定性に関する懸念、一部地域における金融政策による下支えの弱さなどを反映しているという。また、中国についても、2013年が同0.3ポイント低下の7.8%、2014年が同0.6ポイント低下の7.7%に下方修正した。

IMFは、より大局的な見通しにおいて、「依然として新旧含め下振れリスクが支配的である」と分析。世界各国および地域の政策当局が現在ある課題に対処し、「強固な経済成長を回復するための取組みを拡大する必要がある」と主張している。さらに、全ての主要な国・地域において構造改革が不可欠であるとし、「大幅な経常黒字を有する国・地域(中国やドイツなど)では内需を拡大するための措置を、大幅な経常赤字を抱える国・地域においては競争力の向上を図る措置」が必要だと述べている。