古都のたたずまいに溶け込んだ外観のローソン八坂神社前店

雪の北海道を堪能したくて札幌へ、古都の風情を味わおうと京都へ……。旅先で、見慣れた外観や看板デザインとは違ったコンビニ店に出会ってびっくりしたことがあります。同じコンビニなのに、シンボルカラーが違うのはなぜ?

とくに一番目立つのがローソン。全国一律ではないの? そのあたりの謎をローソン広報の杉原弥生さんに尋ねました。

町の景観条例が全国一律でない外観やデザインを登場させている

――ローソンといえば、青のシンボルカラーに「LAWSON」のロゴ。全国一律、そう決まっているものと思っていました。違うんですね?

「はい、違います。京都など古い街並の残る町では、伝統的な町の景観を保護するために景観条例を設けており、私たちコンビニエンスストアにも町の景観にマッチした外観や看板をデザインが求められているんです」

――たとえば、八坂神社向かいにあるローソン「八坂神社前店」は、白い和紙調の看板に黒い文字のLAWSONのロゴマークなんだそうです。店舗入口前のタイル部分には京瓦のリサイクルチップが敷き詰められて、古都の風情をたたえた街並みに溶け込んでいるんですね。

「那須、軽井沢などにも、ローソンカラーの青でない看板の店があります。人々が自然との触れ合いを求めてやってくる山あいの保養地である町にも景観条例があり、それに従い周囲の樹木や木造建築などに溶け込む茶色を基調とした看板にしています。

でも、景観条例に従うという理由だけでありませんよ。ローソンでは、条例のあるなしに関わらず、その土地土地に合った店舗を目指しており、その結果としてシンボルカラーである青でない看板のお店もあります」

外観や品揃えを追求する"個店主義"

――フランチャイズというのは、ロゴマークやシンボルカラーの統一こそが重要だと思っていました。

「かつてはそうでしたが、今ではローソンでは"個店主義"という方針を掲げまして、それぞれの土地柄に応じた店づくりを進めています。

商品の品揃えや販売方法も全国一律である必要はない、その地域のお客さまのニーズに合った品揃えがあっていい、外観や看板も一律である必要はない、と考えるようになったんです。お店の個性を尊重し、より地域に密着した"マチのほっとステーション"になろうということです」

杉原さんに、そんな"個店"の名にふさわしい、個性的な外観デザインを誇る代表的な店舗を紹介してもらいました。

「札幌大通西店」(北海道)
隣接する大通公園の景観を配慮して、通常の看板の色よりも濃い青色を使用。

「仙台一番町三丁目店」(宮城県)
周囲のビルの景観を損なわないよう、LAWSONのロゴに青い色が入っただけのシンプルな看板。

「川の駅もがみ店」(山形県)
最上町の地場産「もがみ杉」を使用し「古来大和造り」で建てられた丸太仕様の店舗。店内は太い丸太の柱が立ち並ぶ。

デザインはどのようにして決まるのか?

――デザインはどんなふうに決められていくんですか?

「各地の支社を通じて、地元の声や意見を尊重しながら、最終的には本社のデザインを担当する部署が店舗のデザインをしていきます。

店舗の外観やデザインに個性をもたせるだけでありません。ローソンでは、病院内に便利でくつろげる空間を作ろうというホスピタルローソン、郵便局や駅、ガソリンスタンドなどとのコラボレーション店舗なども積極的に展開しています」

ローソンほどではありませんが、ほかのコンビニチェーンでも全国一律の外観デザインからはずれた店舗が増える傾向にあります。これからは、旅先で、その町ならではのコンビニ店を探すのもちょっとした楽しみかも。

(OFFICE-SANGA 日下部商店)