東京藝術大学大学美術館では7月7日まで、「夏目漱石の美術世界展」を開催している。
文豪・夏目漱石の美術世界に焦点を当てる展覧会
同展は、近代日本を代表する文豪、また国民作家として知られる夏目漱石(1867~1916)の美術世界に焦点を当てるもの。
漱石が日本美術やイギリス美術に造詣が深く、作品の中にもしばしば言及されていることは多くの研究者が指摘するところだが、実際に関連する美術作品を展示して漱石が持っていたイメージを視覚的に読み解いていく機会は、これまでほとんどなかったという。
同展では、漱石の文学作品や美術批評に登場する画家、作品を可能なかぎり集めてみることを試みたとのこと。来場者にとっては、伊藤若冲、渡辺崋山、ターナー、ミレイ、青木繁、黒田清輝、横山大観といった古今東西の画家たちの作品を、漱石の眼を通して見直してみる機会となる。
漱石自身の手による山水画なども展示
また、漱石の美術世界は自身が好んで描いた南画山水にも表れている。漢詩の優れた素養を背景に描かれた文字通りの文人画に、彼の理想の境地を探る。
さらに、漱石の美術世界をその周辺へと広げ、親交のあった浅井忠、橋口五葉らの作品を紹介するとともに、彼らがかかわった漱石作品の装幀や挿絵なども紹介する。当時流行したアール・ヌーヴォーが取り入れられたブックデザインは、デザイン史の上でも見過ごせない作品となっているという。
会期は、5月14日~7月7日。会期中、出品作品の一部展示替えを行う。開館時間は10時~17時で、入館は16時30分まで。会場は、東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)。休館日は月曜日。観覧料は、当日・一般1,500円 、高校/大学生1,000円、中学生以下無料など。その他、詳細は同展Webページで確認できる。