JFEエンジニアリングは7日、従来と比べて約半分の工期で完成可能な「ハイブリッド防潮堤」を開発し、岩手県山田漁港復旧工事において初めて採用されたと発表した。

ハイブリッド防潮堤は、現地で基礎鋼管杭を施工している期間に、堤体ブロックを工場で製作(プレキャスト)し、鋼管杭打設後、数日間で連結一体化を行うもの。従来の鋼管杭打設後に現場でコンクリート施工する工法では、約2年の工期を要していたが、ハイブリッド防潮堤では約半分の工期で完成できるようになったという。また、被災地においては、設置場所における大量の資機材や人手の調達が不要となるため、復旧工事の進捗を妨げることはないとしている。

プレキャストされる堤体ブロックは、鋼とコンクリートのハイブリッド構造となり、従来品と同等の強度を保ちながら壁厚を薄くすることが可能なため、設置場所の自由度が向上した。また、輸送条件に合わせて分割することもできるという。

ハイブリッド防潮堤の概要図

JFEエンジニアリングは、同製品が初採用された岩手県山田漁港の防潮堤復旧工事において、堤体ブロック製作・輸送を受注。山田漁港では、震災により防潮堤が一部流出するといった損傷が発生しており、新防潮堤では国の指針に基づく「粘り強い」構造の防潮堤に復旧する計画だ。なお、採用に当たっては、工期の半減、および資機材や人手の現地調達の大幅削減が高く評価されたと説明している。

新防潮堤は総延長200メートル。全体工期は2013年3月7日~2014年1月31日、JFEエンジニアリングの製作工期は2013年3月25日~同11月15日となる。

このほかの沿岸プレキャスト型製品として、耐震桟橋などに使用されるジャケットも展開。同社は今後も、被災地域だけでなく、全国の沿岸部でも津波対策のインフラ整備に対し、ハイブリッド防潮堤などの沿岸商品のソリューションを進めていくとしている。