節分の2月3日、みなさんは豆まきをやっただろうか。「鬼は外、福は内」と唱えながら豆をまくことで、邪気を払い、福を呼び込むあの風習だ。東京都港区の東京タワーでは、豆1.5トンを800人でまくイベント「すごい豆まき2013」が行われた。そのとんでもないイベントの様子をレポートしたい。
「豆まき」はトマト祭り+ハロウィーン!?
同イベントは、小澤総合研究所所長、楽天顧問などを務める小澤隆生さんら有志が企画したもの。日本の伝統的な豆まきを「世界の人が驚くようなお祭りにしたい」という思いから始められ、東京タワーでの開催は今年で2回目。食べ物を人に向けて投げるというところがスペインの「トマト祭り」に似ていること、そして鬼のコスプレをしてハロウィーンのように楽しめるということから、豆まきに注目したという。
今年は、豆の量が昨年の1トンから1.5トンに増量された。豆は宮城県から取り寄せた食用に適さないクズ豆で、投げ終わった豆はNPOの協力のもと、長野県に運んで堆肥として有効活用されるとのこと。
東京タワーの1階入り口に入ると、すでに豆の匂いが立ち込めていた。参加者に配る紙袋の中に入っていたのは、1人につき豆2kgと、豆から目を守るためのゴーグル、ジェット風船、おみやげの食用の豆など。
テーマはスポーツの祭典「鬼リンピック」!
会場の中央には約20メートルのランウェイが用意され、参加者たちがみっちりと取り囲んでいる。鬼のコスプレ姿も多い。金管隊によるファンファーレの中、赤鬼と青鬼たちがランウェイに入場して開会を迎えると、小澤さんが「日本には豆まきがあるじゃないか。世界に向けて文化発信していきましょう」と挨拶。続いて太鼓隊と獅子舞、三味線とヨーヨーのパフォーマンスが繰り広げられ、参加者は大盛り上がり。
今年のテーマは、鬼が繰り広げるスポーツの祭典「鬼リンピック」。オリンピックの開会式の入場行進のように、イベントのスポンサーとなっている企業の社長たちが、日本、ロシア、中国、ジャマイカ、アメリカ風の鬼のコスプレをして登場した。
さらに、世界各国で撮影された、"聖火リレー"ならぬ"聖豆リレー"の映像がスクリーンに上映され、「聖豆式」へと続いた。ここで登場したのが、元ヤクルトスワローズで野球評論家の古田敦也さん。古田さんの手で聖豆台(?)に豆が注がれた瞬間、ジェット風船が舞い、場内は歓声に包まれた。
すさまじい量の豆が舞う「豆入れ」「鬼チェリー」「鬼トラクイズ」
いよいよ本番の競技へ。ランウェイ上の鬼が持つ容器に豆を入れる「豆入れ」、鬼の額につけられた的を狙う「鬼チェリー」、鬼と豆に関するクイズに答える「鬼トラクイズ」が順々に行われた。
参加者に、始めに配られているのは1人2kgの豆。それでも十分多いが、この量の豆でもあっという間に足りなくなって、参加者はランウェイや床に落ちた豆を拾い集める。800人が拾っては投げ、拾っては投げ、を繰り返す場内は、豆でいっぱいの空間になっていた。
これだけ豆が飛び交っている場内にいると、豆に当たらないほうが難しく、これがけっこう痛い。筆者はランウェイの脇にいたのだが、ものすごい量の豆が四方八方から、頭に顔に背中に腕にバチバチと容赦なく降り注いできた。
すべての鬼が入り乱れるフィナーレ
フィナーレは、参加者含むすべての鬼入り乱れての豆まきで飾られた。場内にいる誰に投げてもよいルールとあって、場内のテンションは最高潮に。大はしゃぎで豆をぶつけあっていた。筆者もカメラを守って逃げまわりながら、「お祭り騒ぎ」とはこのことだな……!と感じた。
企画した小澤さんは、「縁があったらまた来年もやりたいと思います」と締めくくった。大人が本気で豆まきをするとすごく楽しい、ということがよくわかった。イベント終了後、筆者の頭にはいつの間にか頭にたくさんの豆がついていて、服やかばんの中にまで豆が入り込んでいた。
帰宅して玄関で靴をひっくり返すと、豆が数粒落ちて転がっていった。「祭りのあと」を思わせる光景に、少しさみしいような気持ちになった。次の豆まきまであと一年。