新潟県のえちごトキめき鉄道はこのほど、同社の「経営基本計画(素案)」をまとめ、同社サイトにて発表した。3月8日まで、この素案に対する意見を募集している。
同社は北陸新幹線金沢開業(2015年春予定)にともないJRから経営分離される並行在来線のうち、新潟県内の区間を経営することに。現在の信越本線妙高高原~直江津間(38.0km)は「妙高はねうまライン」、北陸本線市振~直江津間(60.3km)は「日本海ひすいライン」の路線名で運営される。
このほど発表された「経営基本計画(素案)」によれば、「地域に愛され 地域とともに 地域の未来を創ります」を理念に、「上下一体」の第一種鉄道事業者として経営にあたる。「利用者の視点に立った良質な輸送サービスの提供」「冬期運行確保のため除雪体制の整備」に取り組むとともに、リゾート列車を導入して観光需要の創出も図るという。
「妙高はねうまライン」の運行区間は妙高高原~直江津間で、ラッシュ時6両、通常時2~4両編成を基本として運行。朝夕の時間帯に利便性を高めるために増便をし、昼間も都市部を中心に増便を検討するなど、全体として現行の運行本数を超える本数を確保する。車両については、JR東日本が使用している新型電車の導入を協議するとしている。
「日本海ひすいライン」の運行区間は泊~直江津間となり、ラッシュ時2両、通常時1両編成が基本に。直江津~糸魚川間では運行本数を現在よりも増やし、県境にあたる区間も現行レベルを維持する。同路線では新型ディーゼル車を新造し、一般車両6両、イベント兼用車両2両を導入。イベント兼用車両は「妙高はねうまライン」でも運行される。
両路線とも、直江津駅での接続のほか、北陸新幹線の駅が設置される上越駅(仮称)や糸魚川駅での接続にも配慮したダイヤに。2両以下の編成で運転される場合はワンマン運転となる。長野方面、富山方面の並行在来線区間や、柏崎方面のJR信越本線、十日町方面のほくほく線との相互乗入れについても、最大限利便性を確保できるよう関係各社と協議する。現行の特急「北越」、快速「くびき野」についても、JR東日本などに存続を要請・協議するとのこと。
同社はディーゼル車によるリゾート列車も2両導入する予定。アテンダント乗務員の配置も検討しており、お花見列車・地酒列車など、地域ニーズに応じた企画列車・貸切列車も運行する。観光需要の創出のため、情報発信や商品提案、隣接会社との共同観光開発などの取組みを進めるとともに、沿線観光施設とタイアップした割引切符や、JRおよび隣接会社との共同企画切符の販売も検討するとのこと。
これらの利用促進策を講じることで、何も対策を取らなかった場合と比較して5%の利用者数増加を見込んでいる。同社は開業10年後(2025年)の1日あたりの輸送人員1万151人を利用者数の目標として掲げている。