ケアネットは7日、同社が運営する医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」会員を対象に実施した、生活保護制度の医療扶助に対する意識調査の結果を発表した。同調査は、10月26日にインターネット上で行われ、医師会員1,000人から有効回答を得た。
まず、医療費適正化のため、生活保護の医療費の一部を受給者に負担してもらう案について、どう考えているかと尋ねたところ、73.1%が「賛成」と回答。勤務形態別に見た場合、病院医師では76.2%、一般診療所医師では64.9%が「賛成」と答えており、窓口業務まで管理する立場の一般診療所医師はやや低い結果となった。
賛成派からは、「年金生活者や、働きながら保険料を納め医療費の一部負担をしている低所得者がいることを考えると、生活保護受給者のみ全て無料というのは不公平」などの意見が寄せられたという。
一方、「違った方法を考えるべき」と答えた医師は15.6%。勤務形態別では、病院医師が13.9%、一般診療所医師が19.8%だった。具体的な代替案としては、患者にコスト意識を持ってもらうために「いったん支払ってもらい返還する形に」する方法や、複数の施設を回って投薬を受ける患者や、制度を悪用する施設の存在を踏まえた「受診施設の限定」にする方法などが挙がった。
「現状のままで良い」とした医師は11.3%。勤務形態別では、病院医師が10.0%、一般診療所医師が15.3%だった。医師からは、「生活保護の本質まで変えるべきではない」「受給認定を厳格にすることで対応すべき」「現実に支払ができなければ病院の負担になるのが見えているので」などのコメントが寄せられた。
生活保護受給者に価格の安い後発医薬品の使用を義務付けることについて、どう考えているかと聞くと、「賛成」は54.1%。それに対して、「現状のままで良い」は28.9%、「違った方法を考えるべき」は17.0%だった。
勤務形態別で見ると、病院医師では「賛成」が59.4%、「現状のままで良い」が25.9%、「違った方法を考えるべき」が14.7%、一般診療所医師では「賛成」が40.3%、「現状のままで良い」が37.3%、「違った方法を考えるべき」が22.4%となり、両者の間で差が見られる結果となった。
賛成派からは、「後発品は国が『先発品と同等』としているので問題ない」といった意見が、現状維持派からは、「必ずしも薬効が同じとは限らないと考えるため」「院内処方で扱いがない場合がある」「処方の裁量権は医師にある」などの意見が寄せられた。