公開初日を迎えたシリーズ初の単体映画『宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』の舞台あいさつが20日、東京・新宿バルト9で行われ、一条寺烈/初代ギャバンの大葉健二、十文字撃/新ギャバンの石垣佑磨をはじめとした主要キャストと金田治監督、さらにはギャバン、シャリバン、シャイダーの三大宇宙刑事が登場した。
主要キャストあいさつの前には、串田アキラが歌う主題歌「宇宙刑事ギャバン -type G-」をBGMに新旧ギャバン、シャリバン、シャイダーと宇宙刑事が集結。観客と握手を交わしながら場内を練り歩くという粋なファンサービスも行われた。さらに場内が暗転すると、こちらも現在映画が公開中の人気アニメ『TIGER&BUNNY』からワイルドタイガーが登場。映画配給会社の垣根を越えたまさかのサプライズに、会場は大歓声に包まれた。
会場の熱気が冷めやらぬ中に登場した石垣は「はじめまして撃です! みんなの平和はおれが守ります!」と自身が演じた十文字撃になりきって叫び、「ほんとにうれしい! 幸せです!」と感無量の様子。劇中でも新ギャバンを見守ってきた大葉は「一番大変だったのは川での撮影。彼(石垣)はずぶ濡れで、岩で背中を打って手が全く上がらない状態になっても、一言も休みたいとは言わなかった。竹を割ったような男で、ドラマを演じていく中で二代目に育っていった」と大絶賛。初代ギャバンのお墨付きをもらった石垣は「ありがとうございます!」と応え、観客からも熱烈な喝采を浴びた。
公開前から、ギャバンとともに「メタルヒーローシリーズ」の礎を築いた『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』の参戦も大きなトピックとなっていた本作だが、シャリバン/日向快を演じた三浦力は「僕は出番が少しだったため、見どころは僕が出ているところ全部。あとはギャバン、シャリバン、シャイダーのそろい踏み、それにつきます」とアピール。そして、シャイダー/鳥丸舟を演じた岩永洋昭は「まだちょっと不完全燃焼だった部分もあるので、続きは『宇宙刑事シャリバンTHE MOVIE』『宇宙刑事シャイダー THE MOVIE』で続きを!」と「メタルヒーローシリーズ」の続編を希望。これには観客も沸き立ち、次回作を大きく渇望する様子が見て取れる一幕だった。
さらに続編を期待させる発言にはこれに留まらず、初代から30年経った本作でもコム長官を演じた西沢利明からは「新ギャバンと新しい銀河連邦警察のメンバーは近い将来、再びこの美しい地球に危機が迫った時には、全員でこの星を守りにまたやってきます。お楽しみに!」と、次回予告のような発言まで飛び出す事態に。これに金田監督は「皆さんの応援があればもしかしたら続くかもしれませんよ」を次回作を期待させる一言を添えた。
劇中では重要な役所となる大熊遠矢を演じた永岡卓也は「激との友情、河井衣月をめぐる気持ちを見ていただきたい。ラストシーンの3人の涙は本物だと信じて欲しい」と本作の見どころを解説。その衣月を演じる滝裕可里は「ワイヤーで吊ってもらったり、転んだり走ったり、気づいたら痣だらけだったんです」と苦労話を明かすと、金田監督は「俳優さんでも、"転ぶ"芝居をやるのは非常に難しい。でも彼女は一発OK。見事ですよ、もうちょっとアクションやらせてもよかったかも」と太鼓判を押し、滝が「じゃあ次回はぜひアクションを!」とここでも次作発言。また、バード星人の少女・シェリーを演じた森田涼花は、特撮らしいド派手な衣装を見て「初めて見た時はあまりにも派手すぎて、これ誰の衣装なんやろ?と思っていたらシェリーでした」という撮影前のエピソードを話し、会場の笑いを誘っていた。
さらに撮影中のエピソードとして金田監督は「電車の中の短いシーンでは都電をお借りしたんですが、約30分しか借りられないと。その間に全て撮影しなければならない。ですが、本番! ってバーンと彼らにアクションさせたらもう撮影時間が3分で終わりました」、「二人が転がった崖のシーンはもう日が暮れていて、もう時間だー! いくぞー健二ー佑磨ー! 本番だーテストなしーいけー! と。あれが映像になってる(笑) すばらしい演技だった」と、石垣、大葉の適応力と演技力を高く評価した。
ラストには、三浦がシャリバンの"赤射!"、岩永がシャイダーの"焼結!"、そして大葉と石垣がギャバンのダブル"蒸着"を立て続けに披露して会場を沸かせると、石垣、大葉から締めの一言。子供たちから「ギャバン! ギャバン!」呼ばれることをうれしそうに語った石垣は、大切な人から教わった言葉を引用し「銀というものはそのまま放置してしまえば錆びてしまう、けれど磨けば磨くほどきれいになる。だからじぶんで手入れしなければ光らない。新しいギャバンはそういう男でいきたいと思います」と宣言。大葉は「脚本を最初から最後まで読み、本を閉じた瞬間に浮かんだ言葉は東北復興。今でこそヒーローだけど、僕が子供の頃は"正義の味方"だった。これから"正義の味方"がいっぱい増えて欲しい。そんな地球を銀河連邦警察はずっと守り続けます」と語っていた。
『宇宙刑事ギャバン』は、1982年~83年に放送され、「宇宙刑事シリーズ」三部作の第1弾、それらを含む「メタルヒーローシリーズ」の第1弾作品。放送当時、高いクオリティを誇った特撮映像、ヒーローのデザインや造型をはじめ、ライブアクション、SF性、物語のスケール、躍動感ある劇中音楽など、すべての点において画期的な作品として、子供たちを中心に幅広い世代から熱烈な支持を獲得した。生誕30周年を迎え、シリーズ初の映画として『宇宙刑事ギャバン』の続編として制作された本作は、初代ギャバンによって倒されたマクー首領ドン・ホラーの復活を阻止するため、新ギャバンに選ばれた十文字撃(石垣佑磨)が、戦いの中で傷つきながらも真の勇者へと成長を遂げていく姿を描いている。『宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』は現在公開中。