俳優の渡辺謙が、東京・パルコ劇場ほかで行われる三谷幸喜の新作書き下ろし舞台『ホロヴィッツとの対話』に出演することが25日、明らかになった。渡辺が舞台に立つのは12年ぶりのこと。

12年ぶりの舞台『ホロヴィッツとの対話』に出演する渡辺謙

当時も13年ぶりの舞台だった渡辺。そのことを「人々が忘れ去った頃に出てくる『蝉』のようです」と例えながら、「俳優の基盤を作ってくれた舞台に久しぶりに上がるのは、緊張とか興奮を超えた恐れのようなものを感じます」と心境を明かし、「それを乗り越える気になったのは、三谷くんとパルコのおかげです」と感謝の気持ちを語った。渡辺は三谷が脚本家としてデビューした頃からの間柄だという。

パルコ劇場は渡辺のデビュー作『下谷万年町物語』、その後のTVや映画へのステップとなった『ピサロ』など、今では「世界の渡辺謙」と称えられるようになった彼にとってターニングポイントとなった場所。渡辺は「(恐れのようなものを感じたのは)その40周年記念作品の一本に出演できることに不思議な力を感じたからです」と語り、「その恐れが今、消えたわけではありません。ようやく地上に上がってきた『蝉』がその恐れにおののきながら鳴いている姿をぜひ見ていただけたらと思っています」と自身の心境を改めて『蝉』に重ね合わせていた。

同作は『コンフィダント・絆』(2007年)、『国民の映画』(2011)に続く、三谷が手掛けた海外芸術家シリーズの3作目。光の中を生きる表舞台の人と、その光を支えるバックステージの人との人間ドラマで、三谷は自身のライフワークともいえる作品を同シリーズの新作として選んだ。三谷は「スクリーンの謙さんも素敵だけど、舞台の上の存在感はすごいです。ダイナミックであたたかくて格好良くて茶目っ気たっぷりな、生・謙さんをぜひ劇場に観に来て下さい」とアピール。特に見て欲しい人として「クリント・イーストウッドとクリファー・ノーラン」の2人の名をあげながら、「自分たちが俳優渡辺謙について、実はまだ半分しか知らなかったことに気づくはずですから」と締めくくった。

同舞台は東京・パルコ劇場で2013年2月9日(土)から3月10日(日)まで、大阪・シアターBRAVA!で2013年3月13日(水)から3月31日(日)まで行われる。詳細は10月上旬に発表される予定。