昨年11月に英EMIミュージックのレコード部門が、ユニバーサル・ミュージック・グループに買収されることが発表されたが、欧州連合(EU)の欧州委員会と米国の連邦取引委員会は24日、ユニバーサルがこの買収によってヨーロッパでの市場占有率をこれ以上拡大しないことを条件に買収を承認した。
これによりユニバーサルは、EMIミュージックの傘下であるパーロフォンの売却を決定。パーロフォンには現在コールドプレイやリリー・アレン、カイリー・ミノーグ、タイニー・テンパー、デヴィッド・ゲッタ、ブラー、ゴリラズが所属しており、これらのアーティストは一時的であるかもしれないが、親会社を失うことになる。パーロフォンといえばビートルズ所属のレコード会社でもあるが、今回ビートルズおよびメンバーのソロ作品は対象外で、これらの権利は今後もEMIミュージックが持つ。また、今回の買収契約には、資産だけでなくロンドンのアビー・ロード・スタジオやロサンゼルスのキャピタル・タワーなどのEMI物件も含まれている。
そのほかにはデペッシュ・モード、モービーらが所属し、デヴィッド・ボウイなどのカタログを持つクリサリスや、ラモーンズ、ジェスロ・タルの所属レーベルのミュートも売却され、同じく親会社を失うことになった。これらEMI所属アーティストは、分離維持管轄部門によって今後が決まるまで一時的に受け入れられることになるという。
ただ、9月21日に欧州委員会によって下された判定によれば、レディー・ガガ、ジェイ・Z、ニルヴァーナ、U2、テイク・ザットなどが所属するユニバーサル・ミュージックは、EMIの全収益の内30%を売却せざるを得ない状況らしい。ユニバーサル会長兼CEOのルシアン・グレンジはフィナンシャル・タイムズ紙に「もし、もう一度やるか、やる価値があるのか?と聞かれたら、我々は100パーセントまたやると答える。これは歴史的瞬間だ」、ビルボード誌に「買収によって約130億円ほどのコスト削減が可能となった。人員削減に関しまだ発表できない」とそれぞれに語った。
なお、ユニバーサルは、EMIを買収する一方で、音楽関連の出版部門はすでにソニー側に14億ポンド(約1,770億円)で買収されている。
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