俳優の高倉健が26日、6年ぶりに主演した映画『あなたへ』の撮影地として使われた富山刑務所を表敬訪問し、同作の上映会を開いた。
北陸のある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉健)のもとに、ある日、亡き妻・洋子(田中裕子)が残した2枚の絵はがきが届く。そこには一羽のスズメの絵とともに"故郷の海を訪れ、散骨してほしい"という思いがつづられていた。倉島は妻の願いをかなえるため、さまざまな思いを抱きながら、妻の故郷である九州を目指してキャンピングカーを走らせた。
富山刑務所は倉島の勤め先という設定で、高倉は撮影協力の感謝の気持ちを伝えるために今回の表敬訪問を行った。刑務所の講堂に立った高倉は、約350名の受刑者に「昨年、富山刑務所には大変お世話になりました。これから見ていただく映画『あなたへ』は、人を思うことの大切さ、そして思うということは切なさにつながる(ということを描いています)。1日も早く、あなたの大切な人のところへ帰ってあげてください」とあいさつ。「自分は日本で1番多く皆さんのようなユニホーム(舎房衣)を着た俳優です」と場を和ませつつも、ゆっくりと言葉を紡ぐ高倉の姿を見て、涙ぐむ受刑者も見られた。
その後、映画の撮影も行われたファボーレ富山内のTOHOシネマズファボーレ富山にて、田中裕子、降旗康男監督も合流し、計4回1,000人に向けて舞台あいさつを行った。高倉が富山で舞台あいさつを行うのは初のことで、4回分のチケットが即日完売するほどの盛況ぶり。上映後、興奮冷めやらぬ観客を前に高倉は、「暑い中、こんなにたくさんの方に来ていただいてとってもうれしいです」とあいさつ。降旗監督が「山、海、街が一緒に画面に入るとても“映画的な”街でした。また撮る機会があるとうれしいです」とあいさつすると、客席からは拍手が沸き起こった。
公開初日に観客動員10万人を突破し、今後250万人以上の動員を見込めるほどの好調な滑り出し。客層は、60代を中心に、50代以上がほとんどで、夫婦やカップルはもちろん、女性同士も多く見られる。