――ちなみに、『グリオットの眠り姫』のようなメディアミックス展開は考えていらっしゃいますか?

霜月「この作品については、まだ未定なのでお話があればいくらでもという感じではありますが(笑)。今回はCDだけで表現しようという試みでもあって、組曲という方法もCDを意識したものなんですよ。『グリオット』の場合は、コミカライズやノベライズといった展開によって見えてきた部分がすごく大きかったのですが、『零れる砂のアリア』に関して、ブックレットにストーリーを載せたのは、このCDだけでもある程度完結できるということを意識したからなんですよ。ただ、コミカライズなどのお話があれば、ぜひともやってみたいと思っていますので、よろしくお願いします(笑)」

――6月30日にはコンサートが開かれます

霜月「副題の『FEL FEARY WEL.』は、『グリオットの眠り姫』の最後に入っている、メインテーマの曲名なのですが、今回は『グリオットの眠り姫』に収録されている曲を全曲歌い、『グリオット』の世界観に浸れるコンサートにしたいと思っています。前回、2009年は、『ティンダーリアの種』の全曲コンサートだったのですが、今回は『グリオットの眠り姫』の全曲と、あとはその関連曲を歌う予定です」

――発売から3年経った今、あらためて全曲歌うというのはいかがですか?

霜月「『グリオットの眠り姫』に関しては、メディアミックスをやらせていただいていることもあり、2009年の発売以来、ずっと展開している感じになっていて、コミカライズやノベライズによって、ストーリーを深く知ってくださった方が、今の段階になってようやく増えてきた感じになっています。『ティンダーリアの種』の全曲コンサートも、『グリオットの眠り姫』がリリースされた直後だったのですが、『ティンダーリア』もコミカライズやドラマCD化によって、ストーリーを深く知っていただいた上でのコンサートだったので、今回もそれに近い感じです」

――さまざまな展開を経てのコンサートといった感じですね

霜月「アルバムはあくまでも原作と言いますか、発端であり、そこからメディアミックスの展開をしつつ、ストーリーを周知していっている状況なので、コンサートもまたひとつの表現方法であり、コンサート自体もメディアミックス展開のひとつみたいなものだと思っています。コンサートは総合芸術……ライブと言うよりは、いろいろな演出を含めての世界観の表現だと思うんですよ。私の中の感覚では、作品の展開のひとつであり、表現方法のひとつになっています」

――もちろんコンサートで終わりというわけではないと思いますが、ある意味、さまざまな展開の集大成的な位置づけという感じでしょうか?

霜月「そうですね。『ティンダーリアの種』のときも思ったのですが、さまざまなメディアミックス展開を通して、いろいろなものが見えてきたところで、あらためてそれを表現する場としての位置付けになっているかもしれません」

――やはりレコーディング当時と比べると、いろいろな部分が変わってきたりしますか?

霜月「全然変わっているんじゃないかと思います。実際、メディアミックス展開に私も深く絡ませていただいているので、キャラクターへの思い入れがかなり強くなっているんですよ。原作としてアルバムを作った段階から、メディアミックスを通してキャラクター付けがされたり、声優さんが付いたりすることによって、キャラクターへの思い入れが原作者である自分たちの中でも相当に増している。だから感情を込めすぎると、本当に泣きそうになっちゃうんですよ。実際、『ティンダーリアの種』のときは、ヒロインへの感情移入が強すぎて、リハーサルの段階から"ガチ泣き"みたいな(笑)。レコーディング当時はそこまでキャラ付けがされていないので、さまざまな展開の中で、変わっていくもの、固まっていくものがあって、私自身の中でも、気持ちの込め方や表現の仕方が変わってきていると思います」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

霜月「アルバムとしては久しぶりのファンタジー作品になりますが、本当に変わった作り方をしたアルバムなので、ぜひ通して聴いていただきたい作品になっています。この作品単体でも楽しんでいただけるように作っていますが、『グリオットの眠り姫』をご存知でない方は、ぜひこの機会に聴いていただけると、より世界観や作品自体を深く楽しんでいただけるのではないかと思っています。6月30日のコンサートは、『グリオットの眠り姫』をフィーチャーした内容になっていて、この世界観をより深く楽しんでいただけると思います。『零れる砂のアリア』も、もしかしたら聴けちゃうかも……? ぜひ遊びに来てください。よろしくお願いします」

――ありがとうございました


なお、インタビュー中でも話題に出ている「霜月はるか Haruka Shimotsuki Original Fantasy Concert 2012 ~FEL FEARY WEL~」は、2012年6月30日(土)に日本青年館 大ホールにて開催される(開場16時00分 / 開演17時00分)。チケットの一般発売は、5月19日(土)の10時より、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスにてスタートする。料金はSS席が7,000円、S席が6,500円、A席が5,800円。そのほか詳細については、霜月はるか公式サイト「Maple Leaf」などをチェックしてほしい。

タイトル 零れる砂のアリア
収録曲 全6曲
霜月はるか
発売日 2012年4月25日 (発売中) 品番 KDSD-00548
価格 2,625円
発売元 ティームエンタテインメント 販売元 ソニー・ミュージック ディストリビューション
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