屋根つきの展望台から、滝の横顔。カメラにも滝パワーが

さて、いよいよ滝にご対面である。「ジャーニー・ビハインドフォールズ」は、かつて水力発電所で使われていたトンネルを利用した展望施設。滝の真横、そして滝の裏側を覗き見ることができる。もちろんしぶきをザバザバと浴びることもできる。

しかし、冬場はちょっと趣が違う。

これだけの水量だ。滝自体は凍らないのだが、滝からのぼる激しい水しぶきが周辺の木々や展望台の手すりなどにくっついて凍りつき、あたり一面を真っ白な氷の世界に変える。丸くツブツブになった氷が太陽の光をうけてキラキラと宝石のように輝く様子は、真冬ならではの美しさ。岩から染み出る水もツララとなり、一大オブジェとなるのである。

……が、実は今年のナイアガラは地元の人が「こわい」と評するほどの記録的な暖冬。残念ながら例年どおりの景色を見ることはできなかったのだが、それでも滝のすぐそばはかなり凍っていた。屋根のない展望台はガチガチに凍ってしまい、足元が危ないため冬場は立ち入り禁止となるものの、屋根つきのほうは入ることができる。屋根があるとはいえ、しぶきは容赦なく降りかかり、寒い年はそのままコートやジャケットの上で凍りついてしまうそう。

滝の裏側へ出るトンネルはその突端まで行くことはできないが、水に砕かれた石がゴロゴロしており、その激しさは遠くから見ていてもよくわかる。ここも例年はツララに閉ざされるそうだが、今年は絶好調にどうどうと水が流れていた。こんなに多くの水が一度に流れてしまっても、上流の湖はかれてしまわないのだろうか。素朴な疑問が頭をよぎる。

ヘリコプターでのナイアガラ観光

そしてクライマックス。ヘリコプターで上空から滝を見に行くのだ。上空にいくとナイアガラの付近一帯が遠くまで見渡せ、気分は爽快。エリー湖からの流れが崖に近づくにつれ徐々に激しくなり、突然落ち込んでいくその様子がよくわかる。

上空から見た滝。右奥に見える橋でアメリカ側にわたることができる

滝のすぐ脇にはレストランなどが入居するテーブルロック(レストハウス)があるが、そこはそれ以上浸食されないよう整備され、手すりがつけられ観光できるように整備されている。この自然の激しさをせき止めようと考えたこと自体に感服する。

ランチも滝を見ながら。滝の近くにこんな施設があることに驚く

9分間の空の旅。ここまで窓にぴったり張り付いて夢中で外を眺める経験もあまりないだろう。

実は、ナイアガラ冬の風物詩として、エリー湖から流れてくる氷の塊が重なってできる「アイスブリッジ」という現象もあるのだが、暖冬の今年は当然できていなかった。とはいえ、空いているがゆえに滝を心行くまで満喫することができ、また滝パワー(というか、しぶき)もばっちり浴びることができたので大満足である。ナイアガラの滝で自然発生するマイナスイオンの量は世界最大とのこと。なんとなく気分がいいのは、そんな滝パワーのおかげもあるのに違いない。

今年は暖冬で「アイブブリッジ」を見ることができなかったが、こんな素敵な光景がナイアガラの冬の風物詩となっている(写真提供: カナダ・オンタリオ州観光局)