金融庁は27日、中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)を2013年3月末まで再延長する方針を明らかにした。

中小企業金融円滑化法を巡っては、2011年3月末に、中小企業金融円滑化法の期限を1年間延長し、2012年3月末までとする改正円滑化法が国会で成立し、公布・施行された。円滑化法の期限の延長と併せ、運用面の改善として、(1)金融機関によるコンサルティング機能の発揮を促すための円滑化法に基づく金融監督に関する指針の策定、(2)円滑化法にかかる内閣府令の改正による開示・報告資料の大幅な簡素化を通じた金融機関の負担軽減、といった措置が講じられた。

その後、金融庁では、金融経済情勢や中小企業者などの資金繰り、金融機関の金融の円滑化への対応状況について、各種データを分析するとともに、中小企業者や金融機関と意見交換を行いつつ、円滑化法の施行状況やその効果・影響などを注視してきた。

金融庁によると、金融機関の円滑化法への対応状況は、円滑化法施行以降の約2年間にわたる取組みにより、貸付条件の変更などの実行率が9割を超える水準となっているほか、「金融機関の間の連携がよく行われるようになっているという声が聞かれるなど、基本的には、その取組みは定着してきていると考えられる」(金融庁)。

一方で、貸付条件の再変更などが増加している、貸付条件の変更などを受けながら経営改善計画が策定されない中小企業者も存在している、などの問題を指摘する声もあるという。

金融庁では、このような点を勘案し、金融規律の確保(健全性の確保・モラルハザード防止)のための施策を講じる一方、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を促すとともに、「中小企業者などの真の意味での経営改善につながる支援を強力に押し進めていく(「出口戦略」)必要がある」としている。

このため、「外部機関や関係者の協力も得つつ、検査・監督上の対応も含め、総合的な出口戦略を講じることにより、中小企業者などの事業再生などに向けた支援に軸足を移していかなければない」(金融庁)。一方で金融庁は、そうした移行を円滑に進めていく(「ソフトランディング」)必要があるとし、現行の円滑化法を今回に限り2013年3月末まで再延長することが適切と判断。来年の通常国会に同法の改正案を提出する方針を決めた。

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