CS映画専門チャンネル「ムービープラス」は、全国の映画ファンの投票によって今年のベスト・ムービーを選ぶ「ベスト・オブ・ベスト アワード2011」の特別番組「小堺一機と選ぶ ベスト・オブ・ベスト アワード2011」を、12月11日に放送する。

特別番組のナビゲーターを務めるのは昨年までと同様、熱烈な映画ファンとして知られる小堺一機。『我が母の記』の公開を来年に控えた原田眞人監督との対談コーナーの他、映画評論家の渡辺祥子氏、ユナイテッド・シネマ企画編成部の田部井悟氏と今年の映画を振り返る。10月31日、番組収録を終えたばかりの小堺氏に、最近の映画について思うことや自身の映画歴などについてお話を伺った。

左から小堺一機、渡辺祥子(映画評論家)、田部井悟(ユナイテッド・シネマ企画編成部)

2011年の小堺的ベスト・ムービーは『ツリー・オブ・ライフ』

――まずは番組内でも触れておられますが、2011年の小堺さん的ベスト・ムービーについて聞かせてください

「僕は『ツリー・オブ・ライフ』が好きですね。実はもともと、テレンス・マリック監督作品は難解で苦手だったんです。でも『ツリー・オブ・ライフ』は変にお涙頂戴ってわけじゃなくて、監督独自の切り口で親父と息子を描いていて良かった。自分が歳をとったという、年齢的なものもあると思いますけどね」

――俳優・女優についてはいかがですか?

「女優は『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツが可愛いなと思いますね。男優はさっきも言った『ツリー・オブ・ライフ』のショーン・ペンかな。才能のある人ですよね」

――邦画ではいかがですか?

「来年の作品になってしまいますが、今日対談した原田監督の『我が母の記』はすばらしい作品です。役所広司さん、宮崎あおいさん、樹木希林さん、どの俳優さんも良い意味で裏切ってくれていますよ」

――ベスト・オブ・ベスト アワードという賞についてどう思われますか?

「やっぱり映画ファンが選ぶということと、投票する手間をかけてくれていることで、非常に客観性があると思いますね。たとえば評論家の方だと、啓蒙的な意味で『この映画も観てほしい』っていうプレゼンもあると思うんです。本人が特に面白いと思ってなくてもね。だけどベスト・オブ・ベスト アワードは『これが好きなんだ!』っていう一票なので、フォーカスがはっきりしていますよね。変なしがらみがない分、ファンの思いが入った賞だと思います」

小堺一機が人生で初めて観た映画とは……

無類の映画好きとして知られる小堺一機。同じく映画好きの関根勤や明石家さんまなどとはよく映画の話で盛り上がるという

――小堺さんはかなりの映画好きとして知られていますが、月に映画を何本くらいご覧になるのでしょうか

「チラチラとでも1日1本は観るから月30本ですかね。全部は観なくてもつまみ食いしたり、あのシーンだけ見ようとか。自宅にAVルームも作ったんですよ。あ、AVっていってもアダルトビデオじゃないですよ(笑)」

――好きな監督や俳優は?

「監督さんだったら黒澤(明)さんとか……俳優さんはその時々ですね。浮気性なので色々な人を見たいんです(笑)。僕が今55歳なんですけど、子どもの頃は『これを観に行こう』っていうんじゃなくて、映画館に"映画を観に"行っていたんですよ。だから行ってから『今日は時代劇だったか』ってわかるという。今回の特番を放送する「ムービープラス」なんかも、24時間映画を流している専門チャンネルだから、観ている人は映画との偶然の出会いがありますよね。今はこういったチャンネルが昔の名画座の役割を果たしているような気がします」

――人生で初めてご覧になった映画は覚えていますか?

「覚えてないんですよね。でも自分で観に行こうと思って観たのは『エクソシスト』でしたね。あと当時は生意気だったので、女の子に誘われて『ある愛の詩』を観に行ったときに『こんな話は菊田一夫さんがいっぱい書いてたよ』って言って嫌われました(笑)。そのガールフレンドには会って謝りたい気分です」