俳優の高倉健が6年ぶりの新作映画『あなたへ』に主演することが23日、明らかになった。

6年ぶりに映画で主演する高倉健 拡大画像を見る

『あ・うん』、『鉄道員』など18作品で共作した降旗康男監督とのタッグで、高倉は自家製のキャンピングカーで亡き妻の故郷・九州に向かう刑務所の指導技官・倉島英二を演じる。

50歳を前に、刑務所に慰問に来ていた歌手の洋子と結婚した英二は、平穏で幸せな夫婦だけの日々を過ごしていたが、洋子は53歳の若さで死んだ。妻の「故郷の海に散骨して欲しい」との遺言に、「何故、生きているうちに言わなかったのか」と妻の真意を知るために妻の故郷・九州へ向けて旅に出るという物語。

降旗監督が、『夜叉』、『あ・うん』でプロデューサーを務めた市古聖智氏の原案を、脚本家の青島武氏とともに物語を再構築して練り上げて出したオファーを高倉が快諾し「この物語に出会い心が動きました。人が人を思い遣ること、生きることの切なさを思いました。降旗監督とご一緒できることも、6年ぶりの映画出演となる大きなきっかけです。スクリーンで皆様にお会いできるのを楽しみにしております」と意気込んでいる。

また、高倉が出演を決めた理由について、同作のプロデューサーで東宝の市川南 取締役映画調整部長は「理由の一つには、降旗監督があるように思います。高倉さんは、降旗監督との仕事を今の俳優さんたちに1本でも多く、経験させたいと思っていらっしゃるようです」と明かした。

9月7日にクランクインし、11月中旬まで撮影される予定。日本各地で旅情あふれる風光明媚な土地でロケが行われ、刑務所のある北陸から九州へ向けての旅で出会う国語教師やイカ飯売りの凸凹コンビらとのシーンでは高倉のコミカルな演技も見られるという。公開は2012年の秋を予定している。