「サグラダ・ファミリアのような」とはよく言ったもので、都心のターミナル駅はいつもどこかで工事をしている。東京駅も例外ではなく、いまは丸の内口・八重洲口ともに再開発中だ。新線の建設も進み、新たな路線の構想も浮上するなど、東京駅に関する話題は尽きることがない。
工事現場には復原後の駅舎イメージも
1914(大正3)年に創建された3階建ての駅舎を忠実に再現するため、復原工事が行われている丸の内駅舎。復原部にあたる3階のドーム屋根はすでに姿を現しており、本年度末の竣工を目指している。
同駅舎の工事現場では、仮囲いに東京駅の歴史や復原工事の概要のほか、復原を終えた後の駅舎のイメージも描かれていた。
もうしばらくすれば、この赤レンガ駅舎が創建時とほぼ同じ姿で全貌を現すことになるのだろう。その日が待ち遠しい。
東京駅では現在、この丸の内駅舎をはじめ、駅とその周辺のエリアをひとつの街ととらえ、「TOKYO STATION CITY」と命名して再開発が行われている。
その一環で、八重洲北口に「グラントウキョウ ノースタワー」、八重洲南口に「グラントウキョウ サウスタワー」が完成し、現在は両ビルをつなぐ歩行者用デッキ「グランルーフ」を建設中。2013年度の完成予定とのことだ。
「新東京駅」は丸ビルに面した通りの地下に
駅構内では新路線開通に向けた動きが。東京駅と上野駅を結ぶ東北縦貫線だ。2013年度の完成予定で、同路線によって東京駅発着の東海道線と、上野駅発着の宇都宮線・高崎線・常磐線がつながる。直通運転が実現すれば、首都圏のネットワーク強化や、京浜東北線・山手線の混雑緩和も期待できる。
東京駅に関する新路線の構想も多く浮上している。国土交通省発表の2010年度「成田・羽田両空港間及び都心と両空港間の鉄道アクセス改善に係る調査」の概要では、泉岳寺駅から「新東京駅」を経由して押上駅に至る短絡線の整備効果が提示された(詳細は既報の通り)。
「新東京駅」の位置については、丸ビルに面した丸の内仲通り地下案が示されており、東京駅方面だけでなく、二重橋駅(東京メトロ千代田線)がある皇居方面への乗換えも考慮したものになるようだ。
また、つくばエクスプレスの東京駅延伸も検討されているほか、東京モノレールの新橋駅か東京駅への延伸構想が報じられたことも。
建設が決まった中央新幹線のターミナルは品川駅に譲ったものの、長きにわたって日本を代表するターミナルとして君臨し、駅の中も外も話題の尽きない東京駅。いかなる"進化"を遂げていくのか、今後も目が離せない。