国土交通省は25日、2010年度の「成田・羽田両空港間及び都心と両空港間の鉄道アクセス改善に係る調査」の概要を公表した。前年度に示された、「新東京駅」を経由して泉岳寺~押上間を結ぶ短絡線構想にも言及している。
この構想は首都圏の国際競争力を強化するにあたり、成田・羽田両空港の一体的活用を促し、都心とのアクセスを改善するのが目的。短絡線は延長約11km。新東京駅の位置については、丸ノ内の仲通り地下案が示された。
このほど発表された概要には、短絡線が実現した場合の整備効果も記されている。昨年開通した成田スカイアクセスも最大限活用することで、東京~成田空港(第2ビル)間は現行ルートより13分短縮され、約37分で結ばれる。東京~羽田空港間は乗換えなしで約22分、羽田・成田両空港間は約59分(現行ルートより33分の短縮)で結ばれるという。
成田スカイアクセスを経由して成田空港へ向かう京成スカイライナー。同路線をはじめ、既存の設備を活用しながら泉岳寺~押上間の短絡線を建設することで、東京~成田空港間は37分、羽田空港~成田空港間は1時間足らずで結ばれる |
短絡線の整備により、京急線、京成線、北総線の各駅と東京駅とのアクセス機能も強化される。泉岳寺~押上間においては、既存のルートである都営浅草線と新規の短絡線とでピーク時の運行本数を振り分けるのをはじめ、旅客流動の円滑化や混雑対策の実施も想定されていた。
今回の調査結果では、この構想に関する概算工事費や需要予測も示された。概算工事費に関して、前年度は約3,500億円とされていたが、今回は車両基地の追加などもあり、約3,700億円超の費用が見込まれることに。
需要見通しは1日あたり約22万人で、内訳は都市内旅客が19万人、空港アクセス旅客は3万人とされている。また、今後の課題については、「関係者間の合意形成」「公的負担を抑制させる事業スキーム(枠組みをともなった計画)等の検討の深度化」「安定的な財源確保」などが挙がった。