フランス生まれの「クラブメッド」
「バカンス」という言葉が生まれた地であり、夏には1カ月程の休暇を楽しむというフランス。そんな国で1950年に誕生した「クラブメッド」は、"バカンスのパイオニア"として、世界約25カ国に約80カ所のリゾートを展開している。日本にも沖縄と北海道にリゾートを持ち、これから訪れる夏休みのステイ先に、クラブメッドを候補に入れている人もいることだろう。ここでは、クラブメッドの魅力、今後の戦略について紹介していく。
クラブメッドを生み出したのは、2人のヨーロッパ人。「リラックスできる美しい自然に囲まれ、ゲスト同士が皆一緒に様々なスポーツを楽しむことができる場所」を作りたいと考え、1950年に地中海の島・マジョルカ島のビーチに最初のテント村を作った。そこが大人気を博し、その後「バカンスを通じてハピネスを提供する」という理念のもと、タヒチやモルディブなど、世界各国へと展開していった。
お財布いらずの「プレミアム オールインクルーシブ」
意外に長いクラブメッドの歴史であるが、最大の特徴の1つとして「プレミアム オールインクルーシブ」が挙げられるだろう。「プレミアム オールインクルーシブ」とは、往復の航空運賃から宿泊費、食事、様々なアクティビティをほぼすべてパッケージにし、基本的に追加料金がかからないという仕組みのこと。
チャイルドケアサービスもクラブメッドの特徴の1つ |
せっかく解放的なリゾートに来ても、お金の計算をしながらドリンクのオーダーやアクティビティを選んでいたのでは心の底から楽しめない。でもクラブメッドなら、バーでは1日中アルコールを含むドリンクが好きなだけ楽しめる。ビーチリゾートなら、カヤックやウィンドサーフィンだって追加料金なしに体験できる(一部メニューを除く)。また、子供づれのファミリーに嬉しいのがチャイルドケアサービス。子供の一時預かりのことで、基本的には追加代金なしで預かってくれるので、パパもママものんびりリゾートを満喫できるというわけだ。そんなキッズ向けのサービスも充実しているとあって、アジア全体では宿泊客の約7割がファミリー層を占めるという。
そんなクラブメッドではあるが、実は2004年、世界で展開するリゾートの約半数を閉鎖するといった大きな動きがあった。これは決してネガティブな意味合いではなく、数を絞ってその分サービスや施設のグレードアップを計るという狙いからである。2006年にはオールインクルーシブの内容も進化。アルコールや軽食を1日通して提供しているバーの利用もオールインクルーシブとし、現在のスタイルとなった。これは、人が集う場としての「バー」を重視したためで、施設内の中心にバーを設けているのを見てもクラブメッドの姿勢がわかる。事実、宿泊客やG.O(クラブメッドではホテルスタッフをこう呼ぶ。詳細は後述)の自然な交流の場として一日中にぎわっている。
料金自体は、他の宿泊施設のステイ料金やパッケージプランと比べるとやや高めの印象を受けるが、プレミアム オールインクルーシブという内容を考えると、お得感さえ感じられる。