現存する世界最古の時計ブランド、ブランパン。その老舗でありながら常に革新を追い求めるスピリッツと芸術的工芸品の職人による繊細な技術は、BASELWORLD 2011会場でもやはり注目の的だった。

「ヴィルレ ハーフタイムゾーン 8デイズ」は、8日間ものパワーリザーブと30分単位の第2タイムゾーンを設定できる世界初のモデルだ。ル・ブラッシュのマニュファクチュールブランパンで開発されたキャリバー「5235DF」を搭載しており、リューズのプッシャーで高速日付修正か30分の時差調整モードかを選択できる。基準時を修正すると、第2タイムゾーンも自動修正。さらに、日付の修正でムーブメントに悪影響がおよぶリスクを完全に排除しているのも特筆すべきポイントだ。

30分単位のワールドタイムニーズに機械式で応えた「ヴィルレ ハーフタイムゾーン 8デイズ」

ケースバックが開閉式の「ヴィルレ ハーフタイムゾーン ハーフハンター」もある。価格は260万円(税抜)

ちなみに、時差が30分刻みの国や地域は、インド、スリランカ、ミャンマー、オーストラリアの南部とノーザンテリトリー、アフガニスタン、イランなど。これらの地域へ渡航する人々には手放せない、腕から放せない時計となるだろう。

ダイヤルは、「グラン・フー」と呼ばれる高温焼成エナメルを施したホワイトダイヤル。ケースはサイズ42mmのホワイトゴールドまたはレッドゴールドが用意される。ストラップは、カーフで裏をライニングしたアリゲーター。価格はホワイトゴールド、レッドゴールドとも380万円(税抜)。

ギョシェのダイヤルが美しい「ヴィルレ アニュアルカレンダー GMT」

「ヴィルレ アニュアルカレンダー GMT」は、アニュアルカレンダーにGMT(グリニッジ標準時表示)機能を組み合わせた初のモデルだ。新開発のキャリバー「6054F」を搭載しており、日付調整を年に1回(2月から3月に変わるときのみ)とした。8時位置の24時間針を持つサブダイヤルが標準時を表す。GMT機能は、時計中央の時針が表し、この針が日付と連動する。

ラグにはブランパンの特許「アンダーラグコレクターシステム」が組み込まれ、専用工具を要することなく曜日や月の調整が可能だ。GMT、日付、時刻表示はリューズで調整する。ケースはサイズ40mmのホワイトゴールドまたはレッドゴールドが用意される。ストラップは、カーフで裏をライニングしたアリゲーター。価格はホワイトゴールド、レッドゴールドとも345万円(税抜)。

「ヴィルレ グランドデコレーション」のフロントフェイスはこの上なくシンプル

マニュファクチュール・ブランパンの芸術家チームが存分に腕をふるったリアビュー

「ヴィルレ グランドデコレーション」は、ブティック限定の完全予約制、しかも世界で各一本づつの5バリエーションという、トピックに満ちたユニークピースだ。「グラン・フー」を施したホワイトダイヤルは清潔感にあふれ、すっきりとこの上なくシンプルにまとめられている一方、シースルーのケースバックから覗き込むと、そこには息をのむ華麗な装飾の施されたムーブメントが見える。

それぞれのムーブメントに施された彫刻は、スイス、フランス、日本、中国、香港の代表的な風景イメージ。それぞれ、シヨン城、凱旋門、富士山、万里の長城、帆船のある風景が刻印されている。

ケースサイズは45mmで、価格は485万円(税抜)。

パワーリザーブを背面へ送ることで、ダイヤルデザインの可能性を手に入れた「L-エボリューション ラージデイト」

ローターの中に見えるサブダイヤルがパワーリザーブ。ローターの動きから回転が独立しており、見やすさも保持している

「L-エボリューション ラージデイト」もまた、斬新な視点で新たな頂点を獲得した商品だ。メカニックの最高峰・トゥールビヨンと、視認性の高い大きな日付表示、強く個性を主張するインデックスをダイヤルに持ちつつ、ローターに直結したサブダイヤルに組み込むという、いままでにない方法でパワーリザーブ表示を実現したのだ。

この機構を実用化するために、ブランパンの研究開発チームは2年の歳月を費やし、特許を取得した。この成功により、ローターそのものを情報表示媒体として活用できるようになった上、ダイヤルのスペースを稼ぐことができるようになった。つまり、デザインの可能性が広がり、新たな情報表示も可能になるのだ。きっとここから、また次の「世界初」のタイムピースが生まれるだろう。

ムーブメントは、マニュファクチュール・ブランパン「4225G」。ケースは、サイズ43.5mmのホワイトゴールドまたはレッドゴールドの2バージョン。ストラップは、ラバーで裏をライニングしたアリゲーター。価格は1,400万円(税抜)で、今秋発売が予定されている。

ブランパンのブースでは、ギョシェ彫りのデモンストレーションが行われていた

レース活動にも積極的に参加しているブランパン。ランボルギーニが作ったブランパン限定仕様のアベンタドールが!

もはや爛熟期ともいえる機械式時計において、「世界初」の発想やテクノロジーは、そう投入できるものではない。だがブランパンは、そんな我々の常識をいともたやすく覆し続けている。