「島耕作シリーズ」「臨死!! 江古田ちゃん」「ほんとにあった! 霊媒先生」「ハトのおよめさん」「プ~ねこ」(以上、全て講談社刊)を豪華絢爛一挙アニメ化するという、深夜アニメの新機軸『ユルアニ?』。2011年4月より日本テレビ系にて放送開始となる本作は、「秘密結社 鷹の爪」など自由奔放な制作スタイルで数々の話題作を世に放つDLEが担当する、まさに史上まれに見るカオスな深夜アニメバラエティとなる。
そこで今回は、『ユルアニ?』の中で放送される『ほんとにあった! 霊媒先生』の収録現場にて、メインキャスト陣とDLEの谷 東監督が語ったメッセージを紹介しよう。
『ほんとにあった! 霊媒先生』よりメインキャスト&谷監督のメッセージ
『ほんとにあった! 霊媒先生』は、「月刊少年ライバル」にて連載中の松本ひで吉氏による作品。霊媒先生・木林呪理 (きばやし じゅり)を中心としたホラーコメディで、現在原作コミックスは第7巻までが発売されている。今回の『ユルアニ?』にて放送されるアニメ『ほんとにあった! 霊媒先生』は、音声の収録後に絵作りを行う「プレスコ」形式で制作。今回は本作のメインキャスト陣より、木林呪理および黒ねこ役の水原薫、吉居あきこおよび長良先生役の松来未祐、新田エリ役の加藤英美里、そして谷 東監督が作品の魅力について語ってくれている。
――まずはご自身が演じるキャラクターについて教えてください
水原薫「木林呪理役と黒ねこ役の水原薫です。木林先生は霊媒師ということなのですが、うちは本家がお寺ということもあって、ちょっと運命的なものを感じました。ただ、ちょっと違う念仏だったので、家で練習しているときにお爺ちゃんに聞かれて、『それ宗派ちがわない?』って(笑)。そういった宗教の壁を越えて演じさせていただいております。基本的に、やる気がないわけでもあるわけでもない微妙な感じなので、まだちょっとサジ加減の調整が付かないところもあるのですが、回を重ねるごとに、霊媒先生に私も憑依できるよう、頑張っていきたいと思います。黒ネコはこの作品のマスコット的な存在のネコで、一応オーディションを受けさせていただいたのですが、まさかあれで通っちゃうとはという感じで……。とんでもなく不細工な声でやってしまったのですが、それが功を奏しまして(笑)、黒ねこもやらせていただくことになりました。モデルは、私の最寄り駅にいつもいる三毛猫で、いつも挨拶をする仲なんですけど、そのネコをイメージして演じております」
松来未祐「吉居あきこと長良先生をやらせていただきます松来未祐です。今日の収録まで、吉居あきこが本役かと思いきや、長良先生のほうがたくさん喋っていたのでどうしようかなと思っています(笑)。たぶん吉居あきこは、この無茶苦茶な教室の中で、唯一ではないのですが、まともなほうの人で、完全に振り回される側にいる生徒だと思います。本当に周りの方が個性的で、霊媒先生はもちろん、憑依された子もものすごいので、思う存分に振り回されて楽しみました。まともなんだけど、振り回され過ぎておかしくなるときは思い切っておかしくなったりしながら、私自身も本当にこの作品を楽しませていただいています。長良先生はオカルトな霊媒先生と相反する、『科学ですべてを証明できるわ』的なお固い先生なのですが、ポリシーがちがうだけで、ノリは霊媒先生と変わらない激しさを持っています。長良先生とあきこが会話するシーンの収録では、どちらにも憑依しながら頑張りました。そこもぜひ聴いていただければと思います」
加藤英美里「新田エリ役の加藤英美里です。今回、新田エリちゃんというとても気弱な女の子を演じるということだったのですが、霊媒先生が来たことによって、気弱なセリフはほぼ一行分ぐらいしかなくて、その後は(織田)信長が憑依してしまうということになり、ほぼ新田エリ=信長と言いますか、信長を演じる勢いで新田エリちゃんをやらせていただいています(笑)。憑依しちゃった子という意味では、クラスの中でもすごく目立つ子になり、男子の目もいろいろと変わってくると思いますが、信長になったということで、新田エリちゃんの信長っぷりをどこまで出せるかということを探りつつ、思い切って出せるところはバンと出していけたら面白いものになるのではないかと思い、頑張って演じさせていただきました」
――監督にお伺いしますが、『ほんとにあった! 霊媒先生』をアニメ化するにあたって気をつけたところなどがありましたら教えてください
谷 東監督「比較的DLEという会社は、『鷹の爪』など、わりとシュールで、年齢層高めのギャグものを作ることが多かったのですが、今回は少年誌の作品ということで、ギャグに関しては、どういう風に料理していったらいいかなと考えていました。ただ、少年誌といいつつも、シチュエーションのギャグが多く、それらのギャグもすごく切れているので、そういったところは、今までやってきたような良さを出していけるのではないかなと思いました。あと、どのキャラクターも可愛くて、たとえば禿げた校長先生にいたるまで、ほぼ全部のキャラクターが本当に可愛い。その可愛さというものをうまく出していけたらいいかなと。また、クールの中のどこかで、ちょっと変わった飛び道具的なエピソードを混ぜてみるなど、どういう風に遊んでいけるかなっていうところを見つけていきたいと思っています」
――実際に収録を行ってみて苦労した点や演じやすかった点などがありましたら教えてください
水原「呪文というか、術のところですよね。一応、お経のCDとかを聴いて参考にしたのですが……、『マジメかっ!』って話なんですけど(笑)、あまりそちらにとらわれすぎてしまってもよくないので、木林ならではの区切り具合を聴いていただけたらなと思います。私はプレスコというのは初めてだったのですが、やはりいざマイク前に立って皆さんと一緒にやると、自分ひとりでやってみた芝居とはだいぶ変わってきて、特に長良先生との絡みのシーンなどでは、『あ、ここはもうちょっといっちゃってもいいんだな』っていうのが、監督や音響監督に聞く前に自分から自然に出すことができたので、この作品はこのメンバーで揃ってやらなければダメなんだって思いました。初めてお会いする方もたくさんいたのですが、そんな空気は全然なく、昔から知っている仲といった感じで、最初にして、何回も同じ現場でやっているような空気になり、すごくやりやすかったです」
――実際に演じて見て木林と似ていると思ったところはありましたか?
水原「似ているところは、自分に都合よくいい加減なところですね(笑)。あと、共感できないということではないのですが、以前、手相を見てもらったときに、『あなたはすごく守護霊が強いです』って言われたことがあったんですよ。15、6年前、遊園地の帰りに電車に乗ったときから、いきなり肩をつかまれるように感じることが急に多くなり、よくわからないのですが、5本指の感触はしっかり残っているのに、後ろを向くと電車のガラスしかない、みたいなことがありまして、その話を手相を見てくれる人に言ったら、『それは守護霊です』って。何で遊園地に行った帰りに急に現れたんだろうと思いつつ、『霊に好かれやすいので、あなたは多分霊を見る体質なんだろうけど、守護霊が守ってくれているので見ないと思います』と言われたので、これは木林とは共通していないところかなと思います」
――松来さんは実際に収録を行ってみていかがでしたか?
松来「監督のお話で、いずれ飛び道具的なエピソードっておっしゃっていたのですが、これまで収録した話も、一話一話がすべて飛び道具っぽいので、これ以上!? って思いました(笑)」
谷監督「いや、まだまだです」
松来「まだまだなんですね(笑)。そんな風に思ってしまうぐらい、今日の収録も、全部が尖っているといいますか、ボケて突っ込んで、ボケて突っ込んでという息つくヒマもない展開だったのですが、原作の勢いの良さをこうやって音声にして、私たちに任せていただき、みんなのテンポで進めていくのがすごく楽しかったです。プレスコなので、このあと絵が付いて調整されるとは思うのですが、本当にみんなの気持ちがいい間で、ポンポンと収録ができたのは、すごく楽しかったです」
――続けて加藤さんもお願いします
加藤「新田エリちゃんの豹変ぷりを、どこまで差をつけて演じられるかが自分の中での課題だったのですが、信長になったときのぶっ飛び具合をどこまで出せるか、そこがやはり難しいところだと思いました。自分の中では、今になっても、まだもっとやれたんじゃないかなっていうぐらい、もっともっと暴れたい気持ちがありまして、おそらく今後もエリちゃんはずっと信長だと思うので、信長っぷりというか、信長らしい気品を……」
水原「もうエリじゃないんだ(笑)」
加藤「信長として頑張ります!」
――ちなみに皆さんが学生の頃、霊媒先生のような面白い先生、印象に残った先生はいらっしゃいましたか?
加藤「中学生のときに歴史の先生がお婆ちゃんだったので、ちょっと面白い授業になっていまして、ほかの先生の場合は、やはりピシっとしていないとすぐ怒られるみたいな空気だったのですが、お婆ちゃん先生の授業は本当にユルい感じで、面白くて、みんなわりと気を楽にして授業を聞いていたんですけど、急にお婆ちゃん先生が『弁慶の歌知っている?』って言って、牛若と弁慶の歌を歌いだしたり(笑)。みんな、どうしていいかわからないみたいな、ちょっと行動が読めない先生がいまして、でも何かすごく面白かったですね。今思うと、あんな授業でよかったのかなと思うのですが、でもすごく思い出に残っているので、そんな色の強い先生に自分も関われて、良かったなと思っています」
水原「印象に残っている先生は2人ほどいて、一人は吉川晃司さんのすごいファンで、テストの例文やたとえ話などで『吉川君と晃司君が……』みたいに、必ず吉川晃司さんが出てくる先生がいて……。『お前、吉川はそういうことをしない』とか、説教するときも吉川さんが出てくるのですが、私たちはちょっと世代がちがうのでわからないんですよね(笑)。あと、もう一人は60歳近い先生だったのですが、怒るときに、『静かにしてっ!』って両手で口を塞ぐみたいにしていう先生がいたんですよ。普通は手を開いてメガホンみたいにすると思うんですけど。なので、その叫びはみんなに届いていないのですが、私はちゃんとキャッチして聞いていました(笑)。最初、鼻血が出ちゃったのかなって思ったぐらい、なぜかずっと手で塞いでいました。恥ずかしかったのかな?」
松来「少しだけ霊媒先生チックな先生がいらっしゃいまして、歴史の先生で、若い女の先生だったので、けっこういろいろなことを喋っていたんですけど、そのころ、私はあまり声優になりたいということを周りに話していなかったのですが、その先生にだけ、何かのきっかけでポロッと言ったとき、『ああ、松来、絶対になるから』って言われたんですよ。『私、見えるから』って(笑)。今思えば、暗示をかけてくれていたのかもしれないのですが、別にすごいことのように言わず、『絶対になるから、見てな』みたいに言われたのが、今思うと、『あれ?』って感じですね」
――それでは最後に放送を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします
谷監督「今日収録してみて、キャスティングは大成功だったなと思いました。原作もすごく面白くて、7巻が発売されるのですが、それを先にちょっと読ませていただいたら、すごくドライブ感が増していて、面白く、今日の収録もすごくよかったので、それに負けないような作品になればいいなと思います」
加藤「今回の霊媒先生は収録の形式がプレスコということで、私たちもまだ動いている絵を見ていないのですが、完全に演出の面は私たちにかかっているということもあって、皆さん気合を入れて演じられていたので、とても楽しい作品になると思います。これから先もどんどんパワーアップしていくと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください」
松来「私も今から絵をすごく楽しみにしています。やはり私自身は一話ごとが飛び道具だと思っているので、深夜にふと観ていただいたら、ぜったいに目が離せなくなると思います。気軽に見ていただけるうえに目が離せない、すごく独特の味のある作品になるのではないかと思っていますので、ぜひぜひチャンネルをあわせていただけたらと思います」
水原「原作の作品感をアニメになっても本当にそのまま引き継いでいて、まだ絵を見ていないのですが、今回プレスコをやった限りでは、原作どおりの面白さやテンポの良さが出ているので、原作のファンの方の期待を裏切ることは絶対にないと思います。深夜アニメの場合、何気なくテレビをつけてたまたま観る、そして、その"たまたま"が次第にいつも観る、みたいな感じになることがあると思うのですが、きっとこの作品も絶対そうなってくる作品だと思いますので、皆さんをトリコにさせるよう、回を重ねるごとに皆さんの心に作品が憑依するよう、一丸となって頑張っていきたますので、よろしくお願いします」
――ありがとうございました
■TVアニメ『ほんとにあった! 霊媒先生』おもなキャスト
木林呪理、黒ねこ / 水原 薫◆吉居あきこ、長良先生 / 松来未祐◆新田エリ / 加藤英美里◆美幌素子 / 葉山いくみ◆若宮ひな子 / 渕上 舞◆赤城チナツ / ささきのぞみ◆斉藤 / 高橋伸也◆鰐淵 / 小野友樹
(C)H・T・M・H・K/K・「ユルアニ?」製作委員会 |