JR東日本はこのほど、新コンセプトの通勤電車用シートを発表した。「座っているお客様にも周囲のお客様にも快適なシート」をコンセプトに、座り心地と隣の席に与える不快感の解消を目指したという。

JR東日本「新型試作シート」 (画像提供:JR東日本)

試作シートの改良は背もたれと座面のそれぞれについて実施。背もたれ部分はひとりぶんの左右端を隆起させ、中央部の突出を抑えた。座った際に上半身を抱える形となり、加速、減速時の安定性を高めている。同時に左右の身体の傾きを防止して、隣の人にもたれかかるなど迷惑な状態の防止を狙った。

試作シートの背もたれと座面。バケット型でホールド感を高め、加速・減速時の身体の動きを抑えて乗り心地を向上している(画像提供:JR東日本)

座面部分はもっとも低くなる範囲を奥に移動し、自然に深く腰掛けられるようにして安定感を向上。また、足がかかる部分は左右を盛り上げた。これは太ももを保持し、加速、減速時に下半身を安定させる効果があるとのこと。同時に膝が開いたり、足を投げ出したりという「周囲の乗客への不快感」を低減させるという。

現行最新型「京浜東北線用E233系のシート」(左)との比較(画像提供:JR東日本)

新シートの開発は、慶應義塾大学理工学部の山崎信寿教授とJR東日本研究開発センター先端鉄道システム開発センターとの共同で行われたとのこと。2011年6月に山手線231系車両1編成のうち1両に搭載し、快適性やコスト面の検証、耐久テストなどを実施する予定。

山手線ではすでに車内の照明機器においてもLED照明の試験を実施している。