SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券のネット証券4社は2日、投資信託の販売面における協力プロジェクト『資産倍増プロジェクト』を立ち上げ、同日記者会見を開催した。同プロジェクトの内容は、ネットでの投信販売に関する共同イベントの開催や、共同サイト創設などとなっている。

投資信託の販売における協力プロジェクト『資産倍増プロジェクト』記者会見

個人投資家の株式取引は、1999年の株式売買委託手数料完全自由化を契機に、インターネット経由に大きくシフトし、2010年1月~12月の個人の株式売買代金に占めるネット証券大手5社の売買代金シェアは、71.4%に達した。

一方、投資信託は、1998年の銀行窓販開始以来13年連続で資金流入が続いており、個人投資家の資産運用における中核商品となってきているが、2010年1月~12月の株式投資信託設定額に占める、SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券のネット証券大手4社の設定額シェアはわずか1.6%に過ぎない。

2010年1月~12月の株式投資信託設定額に占める、SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券のネット証券大手4社の設定額シェアはわずか1.6%に過ぎない

このような状況の下、上記4社が協力して、シェア拡大を目指すことを第一の目的とし、投資信託の販売面における協力プロジェクト『資産倍増プロジェクト』を立ち上げることした。

2日開かれた同プロジェクト発表の記者会見には、SBI証券 代表取締役社長の井土太良氏、カブドットコム証券 代表執行役社長の齋藤正勝氏、マネックス証券 代表取締役社長CEOの松本大氏、楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏の4人の社長が、そろって会見に出席した。

まず、マネックス証券の松本社長が、プロジェクトの名称について、池田勇人内閣時代の「所得倍増計画」を参考にしたと述べた上で、「国債のデフォルトリスクなどいろいろな問題がある中、4社が力を合わせて、お客様の資産を倍増するためにできることがあるのではないかという思いで、この名称とした」と述べた。

次に、カブドットコム証券の齋藤社長が、プロジェクトの主な活動内容について説明。(1)大規模なイベントの開催、(2)共同キャンペーン、(3)共同の広告PR、(4)共同Webサイトの開設、(5)共同での書籍出版、(6)プロジェクト専用の投資信託の提供、などを展開していくと話した。

マネックス証券 代表取締役社長CEOの松本大氏

カブドットコム証券 代表執行役社長の齋藤正勝氏

さらに、楽天証券の楠社長が、(1)のイベントについて、7月2日に東京の両国国技館で開催するとし、上記4人の社長によるパネルディスカッションや、著名ゲストによる講演のほか、投信運用会社によるブース出展も予定されていると述べた。

SBI証券の井土社長は、今回のプロジェクトの目的について、「第一の目的は、現在1.6%にとどまっているネット証券4社の投信販売シェアを、飛躍的に伸ばすことにある」と説明。「ネット投資家のネットリテラシーの高さに応えるという意味も含めて、ネットでの投信取引に対する啓蒙活動に力を入れていきたい」と話した。

楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏

SBI証券 代表取締役社長の井土太良氏

カブドットコム証券の齋藤社長も、「当社としても、携帯電話・スマートフォンに力を入れているが、iPhoneなどのスマートフォンやiPadなどでも投信の売買ができるようになるなど、インフラが整ってきていることが大きい」と、今回のプロジェクトの技術的な背景について述べた。

マネックス証券の松本社長は、日本におけるネット証券4社による投信販売のシェアの目標について、「3年で30%」と明言。「マーケットは作るものだと思っている。12年前にオンライン証券が始まった時に、まさかオンライン証券が株取引においてこれだけのシェアを持つとは思わなかった。株と同じように、投資信託に関しても、4社が協力することで新しいマーケットを作っていこうと思っている」と、抱負を述べていた。

楽天証券の楠社長も、「自分で判断して自分で投資するという投資の本来のあり方は、ネット証券により株式投資の世界ではすでに浸透している。投資信託の分野においても、今回のプロジェクトが、本来の投資のあり方を広げていく大きな機会になるのでは」と期待を表明した。

会見の最後には、4社の社長が、プロジェクト専用の法被を着て協力を誓い合った