【今日のCFD】NY原油先物1月限
終値ベースでの88.00ドルは2年2カ月ぶり、高値88.13ドルに関しては11月11日の88.63ドル以来約3週間ぶりの高値水準まで上昇しているNY原油先物1月限を2日連続で考えてみたい。
まずは欧州の動向から見ると、欧州中央銀行(ECB)トリシェ総裁は2日、フランクフルトでの記者会見で「ECBは必要な限り、域内の銀行に対し無制限の流動性供給を継続する」と表明し、ユーロ圏の銀行と国債市場に対する緊急支援を段階的に縮小する計画の実施を見送った。更に同日発表した最新の域内経済見通しでは、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)を+1.6%の伸びと、従来見通しの+1.5%から引き上げた。これにより為替市場ではユーロの売り圧力が弱まり、リスク市場(株式、商品)全体をサポートする状況が生まれている。
一方、最近の好調な経済指標から景気回復への期待感が再び強まっている米国のファンダメンタルズだが、昨日発表された10月中古住宅販売成約指数が、事前予想-1.0%に反して、過去最高の+10.4%と予想外の改善を見せたことで、景気先行き不透明感が大きく後退。これは個人所得の伸びと消費拡大にもつながることから、米株式市場ではウォール街株価指数が大幅上昇、米国SPX500も1200の心理的ラインを完全に上抜ける等リスクテイク基調が鮮明となった。そしてこの影響は商品市場へも波及し、ファンド勢を中心に買い先行の展開となっている。
目先の注目される材料は今夜の米雇用統計であることは言うまでもない。失業率は9.6%と未だ高い数字ながらも事前予想(ロイター通信)の+15万人と雇用改善が見られれば、昨日同様、株高傾向と連動して原油相場も一段高を試す展開を描くことができる。
テクニカル的には、88.63(11月11日高値)でダブルトップを形成するかどうかが目先のレジスタンスポイントとなりそうだ。ここで反落するようだとボリンジャーバンド(MA20 σ2.0)の中心線84.62を目指す展開になることも考えられる。ただ、現在の強気相場を考えるなら、仮に反落しても86.28(12月21日安値)もしくは85.00のラインで反転する可能性がある。
逆に88.63でダブルトップを形成することなくもう一段高となった場合、昨日も指摘通り11月でファンドのポジションは縮小していることも考えるなら、更に買い進む余地は十分に残っている。もちろん今日の米雇用統計の次第ではあるが、ボリンジャーバンド(MA20 σ2.0)の上限89.74及び88.95(2008年10月8日高値)を取りに来る可能性は大きい。更に抜けて終わるようなら、週明け以降2008年10月以来の90ドル台乗せを試す展開が想定される。