アジア時間概況

アジア時間は海外時間の流れを受けて、リスク回避的な動きよりは、過熱気味だった動きの調整の展開で、株式市場は堅調に推移し、為替市場では方向感のない展開でドル円は84円台前半で推移した。ユーロはファンド筋からの売りで一時1.31を割り込み、対円では110円目前まで下落したが、ECB理事会を前にして、ショートカバー意欲が下値では強く、反発した。

こういった中、動きがあったのがオーストラリア。午前中に発表された小売売上高の数値が、市場の予想を下回ったことで一時0.96台前半まで反落するも、株式市場のリスクオフの後退地合いを受けて発表前までの水準に戻した。

本日の主要な経済指標

・17:15 スイス : 10月実質小売売上高

・18:30英国 : 11月 PMI建設業

・19:00 ユーロ圏 : 3QGDP(改訂値)

・21:45 ECB(欧州中央銀行)政策金利

・22:30 米国 : 新規失業保険申請件数

・24:00 米国 : 10月中古住宅販売成約

要人発言等

・22:30 ユーロ圏 : トリシェECB総裁記者会見

・26:20 米国 : プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁、経済見通しについて講演

・26:30 米国 : ブラード : セントルイス連銀総裁、米経済情勢と金融政策について講演 ・28:00 米国 : デュークFRB理事、フィラデルフィア地区連銀主催の会合にて講演

欧米時間の見通し概況

市場の注目は、昨日のNY時間からの話題があるように今晩のECB理事会の決定内容。

欧州の混乱に対して、ECBは何がしろの対応を行うのではないかと催促している状態ともいえるか。英経済紙において、5つの可能性があげられており、国債買い入れ額の増額、EUの支援額の上限引き上げなど様々。どの可能性においても課題があり、順当な手段としては、やはりFOMCの決定のように市場に対して資金供給を増やすことが現実的か。

ECBとしては、なるべくバランスシートの劣化を避けたいところ。しかし、今年のギリシャへの対応のように頑な姿勢で市場の混乱を招いたことを考えれば、二の舞は避けたいと思われる。ECB内でも様々な意見があり、どうなるかはその時点まで待たなくてはならない。ただ、2011年からの各欧州諸国の借換え日程を考慮すれば、当面はソブリンリスクが簡単に解消することは難しいと思われる。

また、昨日のNY時間で話題になったアメリカがIMFを通じて欧州への資金提供を行うことについては、市場においてもやや懐疑的な意見も出ている。アメリカも膨大な赤字体質を改善しなくてはならない中で、はたして資金提供をする余裕があるのかどうか。

よって、昨日までの米経済指標を受けて、明日の米雇用統計に向けてややポジティブな雰囲気がある中で、ECBからのメッセージが魅力的ではなければ、200日移動平均線付近でもみ合っているだけに、あっさりとユーロは反落するかもしれない。

一方、ドル円はリスクテイクの思考次第で右往左往する展開は変わらず、実需筋もドル円ではそれほど上値では待っていないといわれているが、欧州の混乱からクロス円では待ち構えている模様。85円は近くて遠い存在になるのであろうか。

また、別の話題としては、米経済誌においてウォール街を中心としたインサイダー取引に対する捜査の影響が懸念されている。各金融機関への波及が市場では話題になっており、どの程度まで、ファンド筋や大手金融機関にまで及ぶのかで様々な憶測を呼んでいる。不透明要因とはいえ、金融銘柄にとってはいやな話題である。欧州大手金融機関の欧州内の融資額に対する懸念があるだけに、株式市場における金融銘柄の動きには注意しておいた方が良いかもしれない。