――創作の"外伝"で始まった「ガンダム講談」が、オリジナルのストーリーを語る現在の形になったのはいつからですか?

南半球 : 「最初はそのまま講談化するのには躊躇があった。著作権の問題をクリアしても、僕がアムロやシャアをそのままやるのは恐れ多いというか。なにしろ人類初のガンダム講談ですからね(笑)。それが、東京で初めて講談会をやった2007年に、なんとガンダムの原作者である富野由悠季さんが突然来られて、『これは大変おもしろい試みだ』と言ってくださった。これがすごい勇気になりましたね」

――現在の「ガンダム講談」のレパートリーは?

南半球 : 「まずはファーストシリーズを最初から最後まで語るダイジェスト版を12席で作ったんですけど、今は20席ぐらいに増えてます。最終的には、ファーストシリーズの全話数と同じ43席ぐらいにはなるのかな? っていうぐらいの数を作っていってます」

――ガンダムを講談にするにあたって苦労する点は?

南半球 : 「ネタを作る量が多いのがしんどいかったですね。講談会を毎月やって、新しい話を2席ずつ聞かせてたからもうヘトヘトです(笑)。講談って本来、続き物なんですよね。長い戦の話を20分ずつに分けて毎日しゃべる。大人気だった明治や大正のころは、『ちょうど時間となりました?』とか言って1席終わって、お客さんが『おいおい、続きは明日かよ』なんて返すやりとりがありながら、毎日ずっと続けるというスタイルがあった。ガンダム講談もそのスタイルで、来てくれたお客さんが続きを楽しみにして来月のチケットを買ってくれる。しんどいながらも、ありがたいなと思って続けてこられました」

――お客さんのパワーが力になっていると。

南半球 : 「また、来てくれるお客さんが何を求めてるかがひしひしと伝わってくるんですよね。それに操られるように次のネタを作る。僕、高座で結構派手に動いて、汗だくでネタをやってるんですけど、それも若いお客さんの熱気に突き動かされるようにそうなってしまうわけで。それが本来の芸のあり方なんですが、期待に応えられるかというプレッシャーはすごいです。前回はおもしろかったのに、今回はよくなかったってなったら、お客さんは二度と来てくれなくなりますから。こっちも必死です」……続きを読む