三大原種が一度に観察可能

同リゾートは標高900m。朝夕は涼しく、コーヒー栽培に適した立地だ。もともとインドネシアはコーヒー生産量が多く、日本の輸入量は2009年の場合、ブラジル、コロンビア、ベトナムについで4番目に多い。また、マンデリンで有名な産地でもある。

「ロサリ・スパ・リトリート & コーヒープランテーション」の農園では、カネフォラ種ロブスタの栽培がメイン。俗に言うロブスタのことで、同農園ではこれが約90%を占める。読者の中には、「アラビカ種はいい豆、ロブスタは悪い豆」といった印象を持っている人が少なくないと思う。実際、アラビカ種100%を売り物としたコーヒーチェーンは多い。しかし、インスタントコーヒーや缶コーヒーではロブスタがブレンドされることが多く、これをブレンドすることでコーヒー感(ボディ感)を出しやすくなるというメリットがあるのだ。ロブスタはロブスタで、私たちにとっても必要な品種なのである。

そんなロブスタの他に、少数ではあるがアラビカ種、さらにはロブスタ、アラビカとあわせてコーヒー三大原種といわれているリベリカ種も植わっている。この農園、リゾートの宿泊客だけではなく、ビジターの見学も可能。観光客からすると、栽培環境が異なる三大原種を観察できるのは非常にうれしい。また、ロブスタとアラビカを掛け合わせたというアラブスタもあり、それぞれの葉の大きさは下の写真ほども違う。最も大きいのがリベリカ、次がロブスタ、そしてアラブスタ、アラビカの順だ。

この農園では貴重なアラビカ種の木

4種の葉を比較。最も大きいのがリベリカ、そしてロブスタ、アラブスタ、アラビカ

収穫時期は7月~8月。ちょうど訪問時に収穫の様子を見ることができたのだが、1つひとつのコーヒーチェリーを確認しながらの手摘みだった。収穫量はコーヒーチェリーの状態で年間20tほど。焙煎後で7~8tとなる。ここで収穫されたコーヒー豆は市場に出回ることはなく、大半がリゾート内で消費される。なんともレアな豆である。

赤く熟したコーヒーチェリーは1つひとつ手摘みされる

コーヒーに直射日光は大敵?

コーヒーというと、1日中太陽の光が降り注ぐ、暑い熱帯地方の産物、といったイメージがあるかもしれない。実際、赤道付近の国々で栽培はされているが、朝夕涼しい環境に農園はあることが多い。また、さんさんと降り注ぐ太陽の光はコーヒーにとってはむしろ大敵で、光を浴びすぎると葉やけを起こしてしまうことがある。そんなときに必要なのがシェードツリーだ。コーヒーの木に強い直射日光が当たらないよう、傘の役割をする木である。

コーヒーの木の周辺には、シェードツリーが植えられている

コーヒー農園の案内は、日本語が堪能なホテルスタッフ・スハルマンさんにもお願いできるので安心

同リゾートは前述の通り900mの高地にあり、朝と夕方は涼しく、人間にとっても快適な気候。農園を見渡すと、コーヒーの木より随分と高いアカシアの木がところどころ植わっている。ここではアカシアがシェードツリーとなっている。

コーヒー農園は、日本語が堪能なホテルスタッフ・スハルマンさんの案内もお願いできる。かなり専門的な質問にもしっかりと答えてくれるので頼もしい(宿泊客のプランテーションツアーは無料、ビジターは1名$15)。