株式市場の軟調地合いを受けて、リスク回避志向が優勢のアジア時間。ドル円は本邦実需筋の売りが入ったという観測もあり、83円台前半まで下落し、他のクロス円も同様に下落。豪ドル円においては外国為替証拠金筋からの売りがかなり入ったという観測もある。昼には野田財務相から「必要な時には断固たる措置を取る」「介入も含む」との発言もあったが、市場の反応は軽微。投機筋としては円ロングポジションがまだ維持されやすい地合いとなっているが、利益確定の動きも出てきているようだ。

・17:30(英)7月鉱工業生産

・17:30 (英)7月製造業生産

・19:00 (独)7月鉱工業生産

・N/A(英)BOE金融政策委員会

・N/A (欧州) 欧州議会 本会議

・20:00(米)MBA住宅ローン・借換え申請指数

・22:00 (加)カナダ中銀 政策金利発表

・02:00(米)財務省10年債入札

・03:00(米)地区連銀経済報告

・03:30(米)コチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁 講演

・04:00(米)7月消費者信用残高

野田財務大臣、そして白川日銀総裁それぞれのコメントが出たものの、市場の反応はあまりなく、対ドルでは15年ぶりの円高水準となっている。また、日銀・財務省双方とも、現状の円高の展開についてはドル安に加え欧州に関わるリスク回避的な動きを要因として言及している。これでは、日本当局は「行動できない」のではなく、「現時点では行動しない」という見方が市場で優勢になってしまいそうだ。もちろんメディアでは、産業の空洞化など様々な視点から意見が出てくると思われるが、これらが現実の需給に関してインパクトを与えることは難しい。テクニカル的にみてもサポートポイントはドル円・ユーロ円双方とも殆どないことから、荒っぽい展開を想定しておいた方が良いかもしれない。特に下値ブレイクの際には、要注意であろう。

ただ、来週の民主党代表選に絡んで、面白いデータが出ている。一般的な国民の支持率で見れば、菅首相はかなり優位。しかし民主党内で見れば、小沢氏の方が優勢だとか。今回の14日のイベントは代表選出になっていることから、小沢氏が選ばれた場合には、菅首相は新たな短命首相となり、海外筋としては日本投資どころか、日本回避の資本の流れが出てくるかもしれない。現状では実需筋からの円買い需要が強いようだが、今晩の米地区連銀報告を控えて、ポジション調整の動きにも注意しておきたい。

そして、現在注目されている欧州系金融機関の自己資本比率の話題。他のリスク回避の展開にあわせ、この話題に顕著に反応しているのがスイスフラン。SNB側のスタンスも、これまではスイスフラン高による影響は懸念していなかったことから、1.2800を割り込みS/Lの誘発もあったことで、対ユーロで最高値(ユーロでは最安値)の1.2776をつけた。対ドルでもほぼパリティ状態になっている。ただ、ここ数日警戒感を持って市場はすでに動いていることから、昨日の安値1.0060を再度割り込まない場合には、短期的なポジション調整の可能性が出てこよう。米株式先物市場も、マイナス圏から持ち直していることから、リスク回避の展開が再燃するかどうかが方向性を決めよう。

また、夕方にイギリスの経済指標が控えていることから、ポンド円やFTSEに興味がある場合はEUR / GBP(ユーロ/英ポンド)からの圧力がどうなるかにも注目しておこう。