今日のNY原油先物

まず、現在の状況を、在庫と需給面からみると、今週、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油在庫は、原油が前週比80万バレル減、ガソリンが変らず、石油精製品が110万バレル増となった。製油所稼働率は前週に比べ1.9%上昇の90.0%となったが、原油輸入量が日量12万バレル増加したことで、原油在庫が減少した影響は限定的だった。

ガソリン需要は、前週の日量923.6万バレルから945.9万バレルまで増加。4週間平均では、前年同期の913.2万バレルを大きく上回る945.1万バレルまで達した。しかし、ガソリンの在庫が過去5年の平均を大きく上回っていることから、例年ドライブシーズン特有の要因として注目されるガソリンの需給逼迫懸念が浮上するような状況にはない。

今度は米ファンダメンタルズへの懸念からみると、8月フィラデルフィア連銀景況指数が先月の+5.1から今回-7.7まで大きく落ち込んだインパクトが大きかったようだ。同指数がマイナスに落ち込むのは1年ぶりのことで、これまで比較的好調を保ってきた製造業部門に対しての先行き不透明感が強くなったとの印象を市場へ与えた。

もちろん17日に発表された7月の鉱工業生産と設備稼働率は比較的良好な数値だったことを考えれば、必ずしも製造業部門が悪化の一途を辿っているとは判断できない。しかし、他セクター同様に先行き不透明感が強くなっているというのが市場のコンセンサスとして台頭している以上、リスク投資市場からの資金流出を促す要因になる可能性は常に考えておいたほうが良いだろう。

チャートを見ると、現在、75ドル割れの水準にある。下げすぎ感も台頭しているが、株安傾向に逆行してまで買い進むエネルギーは感じられない。それは、ボリンジャー・バンドの中心線で上値が抑えられていることでもわかる。

ボリンジャー・バンドの幅が急速に縮まっており、更にリスク回避が強まればボリンジャーンの下限をブレイクし、節目の74.00をトライする可能性が高まるか。オシレーター系指標は、弱気のシグナルが出ており、74.00までの下落余地はあり得ると考えたほうが良さそうだ。

そのような展開となった場合、この水準で反転するかが市場の注目を集める可能性が高い。なお、NY原油先物9月限は本日20日が納会になる点にも注意を払っておきたい。

NY原油先物 1時間足