大井川鐵道はこのほど、同社で運行するSL「C56形44号機」のタイ国カラーについて、8月いっぱいで終了すると発表した。9月に実施する定期検査で日本国鉄仕様に戻すとのこと。日本では珍しい「緑色の蒸気機関車」は8月の運行を最後に見納めとなるという。運行日は毎週水・木・金・土曜で、8月4日~7日、11日~14日、18日~21日、25日~28日。金谷駅10:02発千頭行き、千頭駅14:58発金谷行きの1日1往復。

大井川鐵道「C56形44号機」タイ国鉄仕様

C56形蒸気機関車は1935(昭和10)年から156両が製造され、北海道・樺太から九州まで全国各地で活躍したという。このうち90両は第二次大戦中に軍事供出され南方へ送られたとのこと。映画『戦場に架ける橋』の舞台となった泰緬鉄道でも活躍していた。

大井川鐵道で動態保存されている「C56形44号機」は1936(昭和11)年製。北海道で活躍した後、戦時供出でタイ・ビルマ(現ミャンマー)方面に送られた。終戦後もタイ国鉄735号として活躍した。しかしタイ国鉄のディーゼル化によって廃車が決まり、スクラップになる寸前で大井川鐵道に引き取られたという。

1980(昭和55)年に大井川鐵道で復活した「C56形44号機」は国鉄色に戻されて運行を開始。しかし、ボイラーの老朽化によって休車となってしまう。この知らせに全国から復活を望む声が寄せられたため、2007(平成19)年に修繕工事を実施。同年が日本・タイ修好120年にあたることもあって、外観をタイ国鉄仕様に戻したとのこと。富士山静岡空港の開業で静岡県とタイ国の関係が深まるという期待もあったという。

タイ国鉄仕様。ボイラー部は緑色、テンダー(炭水車)にタイ国鉄を示す文字

国鉄仕様完成予想図。全体的に黒塗装で、先頭部に除煙板が設置される