ニコニコ動画版ミュージカルが本格的に動き出した。ドワンゴは6日、"ニコニコミュージカル"第1弾『クリスマスキャロル(仮)』を2010年末に上演、元ライブドア社長の堀江貴文氏が主演を務めることを発表した。"ネットとライブの融合"による新たなビジネスとしても注目が集まる。

ニコニコミュージカル『クリスマスキャロル(仮)』の主演を務める堀江貴文氏(中央)。ディケンズによる名作をどのように演じるのか。西村博之氏は「王道の古典を堀江さんがやることで、どこまで崩せるか」と期待を寄せた

上演が発表されたニコニコミュージカル(ニコミュ)は、堀江氏が主演を務める『クリスマスキャロル(仮)』(日程:2010年12月22~26日)のほか、『ミュージカルニコニコ動画(仮)』(2011年1月7~12日)、『ニコニコニーコ(仮)』(2011年3月17~27日)の3作品。全作品のプロデュースは、『ミュージカル・テニスの王子様』(テニミュ)の生みの親である片岡義朗氏(同社執行役員)が手がける。

いずれも劇場での上演に加え、ニコニコ動画でも有料中継される。チケット価格は、クリスマスキャロル(仮)では劇場用チケットが4,500円、ネット視聴用チケットが1,000pt(1ニコニコポイント=1円)、10月頃に発売される予定。この価格設定について片岡氏は、低価格を意識したと説明する。既存ミュージカルのビジネス構造では、舞台制作費を販売数に上限のあるチケット収入でまかなう必要があり、大作ほどチケットは高価になると指摘。より劇場に足を運びやすい価格に抑えたくてもできないジレンマがある。販売数に上限のないネット視聴用チケットは、演劇ビジネスを支える新たな収入源になるという。もちろん、そうしたビジネスを支えるネット視聴者にもライブ感覚を共有する新たな仕組みや十分な配信品質を提供し、リアルに負けない観劇体験を実現するとしている。

片岡義朗 ドワンゴ執行役員兼プロデューサー。"テニミュ"でミュージカル界に新風を巻き起こした敏腕プロデューサーが、ニコニコ動画を舞台に再び新たな試みに挑戦する

ニコニコ動画の"黒字化担当"夏野剛 ドワンゴ取締役は、会見冒頭に「今日もまたお金のかかる話をしにきました」。ユーザイベントを続けるための新たなビジネスモデルについて説明した

ドワンゴは今後、ネットとリアルの融合イベントを収益化する試みを進めていく。同日に行なわれた説明会では、リアルのユーザ参加イベント「ニコニコ大会議・夏/秋/全国ツアー」を2010年も開催することを発表、8月開催予定の『ニコニコ大会議2010夏~笑顔のチカラ~』では、劇場用チケットを5,800円、ネット視聴用チケットを1,500ptで販売することがアナウンスされた。同社"黒字化担当"の夏野剛 取締役は、有料化の流れは単なる収益目的ではなく、「きちんと長い時間、この(ミュージカルや大会議などのイベントを開催する)システムが回るようにする」ための試みと説明した。

ちなみに、片岡氏は、ニコニコ動画版ミュージカルの制作は西村博之氏からの依頼がきっかけだったと語り、西村氏の出演について、「ひろゆきの出演は既定の事実」とひとこと。会見で発表されたニコニコミュージカルの詳細については、追って別レポートを掲載する。