アジア市場動向

序盤は昨日の欧州株式の軟調な地合いを受け売り優勢の展開となったアジア株式市場だが、オーストラリアの銀行株や台湾のテクノロジー関連株で底堅い展開となったことをきっかけに、午後に入ると日本225種をはじめ、投資家の買いが先行する展開となった。

この株式動向を受け、円相場も円高基調がひとまず終息すれば、ユーロや豪ドルでもショートカバーが入る展開となった。

また、注目されたRBA(豪準備銀行)の金融政策だが、予想通り金利は据え置き。その後に発表された声明文でも、一部で慎重なコメントになるのではとの憶測も流れていたが、ふたを開けてみれば金融政策は適切と表明した。これを受け徐々に豪ドルのショートカバーが強まり欧州タイムを迎えた。

海外市況動向

午後に入りアジア株式が底堅い展開を見せたことで、本日の欧米株式が悲観論一色となる状況はひとまず避けられる可能性も出てきた。

特に中国株式の反転は、中国の経済成長への懸念が台頭しつつある現在の状況を考えると、投資家の不安心理を幾分かは和らげる効果が期待できそうだ。事実、中国株の反転が日本225種やユーロの上昇を誘発した。

しかし、昨日はドイツ国債と債務問題に直面する国々の利回り格差が再び拡大傾向にあることには注意が必要だろう。背景を探れば、震源地となったギリシャでは同国の4-6月期経済成長率が速報値でマイナス3%に落ち込むと発表されたことに加え、スペインでは貯蓄銀行による住宅ローン隠しが指摘される等、金融セクターやユーロ売りには事欠かない状況が続いている。

一方、アジアに目を向けると、中国が日本国債への投資を加速させ、1~4月の買い越し額が5,000億円を超えたと報じられている。このことは、今までの単なるリスク回避による円買いというパターンから、中国の国防を意識した戦略的な円高圧力が常にかかる可能性を示唆している。現時点で、海外の投資家がこの件をどこまで材料視するかは不透明だが、今後、円相場を動かす主役として中国の存在は無視できないものとなりそうだ。

また、本日より米国勢が復帰する。先週末の米雇用統計では、あらためて米国内の雇用情勢の厳しさが確認できたかたちとなった。本日23:00に発表される6月のISM非製造業景況感指数で、景況感の改善を示す50を下回るような非常に弱い結果となれば、米景気減速懸念が更に強まる可能性もあり、株、ユーロそして豪ドルでリスク回避モードが再び強まることも考えられる。

ユーロドル 日足

ウォール街株価指数 日足