アジア市場動向

欧州債務問題や米景気減速懸念が台頭しつつある中、昨日の米ウォール街株価指数が引けにかけて買い戻された流れを受け、アジア株式市場も底堅い展開となった。

しかし、円相場が円高基調を強めていたことから積極的な買いは続かず、午後に入ると上値が重くなる展開へ。ディフェンシブ銘柄を中心に底堅い状況となっていた日本225種も、心理的ラインである1万円の大台が意識されたこともあり、引けにかけて失速した。

為替市場は、外部環境の不透明感を背景にリスク回避の円買い基調が継続した。

新首相誕生により豪ドルへの需要が増した場面も見られたが、午後に入るとアジア株式が上値を抑えられたこともあり徐々に反落。

ボックス相場が継続していたドル円も心理的ライン90.00を下抜け、89円台でこう着したまま、欧州タイムへと入った。

海外市況動向

リスクテイクの裏で燻り続けていた欧州債務問題が、再び表に顔を出すことになるのか。震源地となっているギリシャでは、同国債権の保障コストが急上昇し、10年債利回りに関しては10%を超えてきた。

また、同国のCDSスプレッドも、5月6日に付けた最高940bpに迫る908bpまで上昇している。市場もこの金利動向には敏感にならざるを得ない上状況となっており、リスクという名のモグラが、再び半分顔を出してきたといったところか。

更にファンダメンタルズを重ねてみると、6月のユーロ圏総合景気指数が前月の56.4から56.0へと低下したことに加え、今まで欧州債務問題が米株式市場へ及ぼす影響は軽微と見られていたが、昨日FOMC(連邦公開市場委員会)が米国の経済成長に悪影響を及ぼすと言及したことだろう。

米住宅市場の落ち込みと最近の弱い経済指標による先行き懸念が台頭しつつあるこのタイミングで債務問題への関心が強まっていることから、株式や商品といったリスク市場では上値を追う展開とはなりにくいか。

尚、本日は米新規失業保険申請件数が発表されるが、市場では47.2万件から46.0万件へと減少する見通しとなっている。

リスク回避が強まりつつある中で、米雇用情勢が順調に改善している内容となれば、米株式を下支えする要因となりそうだ。

逆に、FRBが住宅市場と共に懸念している雇用情勢でも鈍化の兆しが見られた場合、投資家のリスク回避傾向が強まり、米債やドイツ国債、もしくは円へとマネーシフトが起こる可能性が高まる。

ユーロドル 日足

ウォール街株価指数 日足