菅直人内閣の新しい郵政改革・金融担当大臣となった自見庄三郎氏は11日、菅内閣の閣僚として初めての記者会見を金融庁で行った。自見新大臣は会見で郵政改革法案の見直しについて「現時点では全く考えていない」と述べた。

菅直人内閣の新しい郵政改革・金融担当大臣となった自見庄三郎氏

自見大臣の会見は、記者クラブ加盟各社の記者以外にも、雑誌、インターネット、フリー記者らも参加できる「オープン記者会見」として開かれた。18時10分の開始予定時刻にはすでに多数の記者・カメラマンが詰め掛けて熱気に包まれたが、記者会見はその1時間20分後の19時30分ごろから始まった。

会見で自見大臣は、内外ともに大変厳しい時代に、金融担当大臣、郵政改革担当大臣になったと述べた上で、「郵政改革法案は大変大きな問題」と指摘。小泉内閣時代のいわゆる郵政選挙から、郵政問題が国民の大きな関心を呼ぶようになったとし、郵政問題は、米国を中心とした金融のグローバル化の中で起きたものであるとの認識を示した。

そうした中、郵便貯金・簡易保険・郵便事業の郵政3事業が大きな政治的なテーマになったとし、「私は九州の出身でございますが、(九州をはじめ)日本は過疎地・離島といった所が多く、安定的に金融・保険・郵便という、最低限の金融サービス、あるいは郵便サービスを得たいという人が非常に多い」と述べた。郵政改革法案について、「後戻りした改革と言われることもあるが、郵政3事業が明治4年以来果たしてきた役割を考えると、全国どこでも国民が利用できるということは、近代国家としての基本的なインフラとして大事なことであると思う」と、郵政3事業が担う役割の重要性を強調した。

また自見大臣は、橋本龍太郎内閣で郵政大臣を務めたことにも触れ、「私は、郵政事業庁、郵政公社を作った制度設計をした一人」と話し、「へき地・離島・山村でも恩恵を受けることができる一方、21世紀に耐える合理性が大事でございますから、それをどういう風に調和していくというのが、大変大事な問題ではないのか」と述べた。

また、民主党の枝野幸男幹事長と、参院選が終わった後、すでに衆議院を通過した郵政改革関連3法案と同一の法案を、臨時国会に出すということで合意したことを明らかにした。

また、金融関連政策については、リーマン・ショックやギリシャ・ショックなどにより、金融情勢・経済情勢とそれに基づく経済政策が大きな節目にあるとの認識を示した上で、(1)金融システムの安定化、(2)金融機関の利用者の保護、(3)公正・透明な市場の確立、という3つが、「国民が金融庁に与えた使命」であるとし、「微力ではございますが、しっかり任務を果たしていきたい」と抱負を述べた。

その後、自見大臣は、記者からの質問を受け付けた。郵政改革法案を巡る混乱で、国民新党としてしこりが残ったのではないかとの質問には、「一切しこりがなかったとは言いませんが、今日枝野幹事長と合意書に署名し、(しこりを)乗り越えさせていただくことができたと確信している」と述べた。

臨時国会に向けて、衆議院を通過した郵政改革関連の3法案の内容を見直す余地はあるのかという質問には、「現時点では全く考えていない」と述べた。郵貯の限度額を上げる政令案を見直す余地はあるかという質問に対しても、「今の時点ではない」と回答していた。