アメリカ・ニューヨークで開催中の第9回トライベッカ映画祭にて『鉄男 THE BULLET MAN』北米プレミアを終え、帰国した塚本晋也監督が、4月30日、都内にて凱旋記念トークイベントを開催した。

『鉄男 THE BULLET MAN』の塚本晋也監督。5月15日には、『鉄男』I~最新作までの軌跡をたどった、DVD付き研究ビジュアル本『完全鉄男』(講談社 / 5,460円)が発売される

、『鉄男 THE BULLET MAN』は、最愛の息子を殺され、幸せな生活が突然崩壊してしまった男・アンソニーが、強い怒りの感情を抱いたことをきっかけに、身体が鋼鉄の銃器へと変貌していくというもの。日本映画ながら、全編英語作品として制作された本作。第9回ローマ国際ファンタスティック映画祭のグランプリに輝き、世界中に熱狂的な"TETSUO"ファンを生み出した、塚本監督の映画『鉄男』(1989)の21世紀版で、『鉄男』の続編でもなくリメイクとも異なる、塚本監督の新たな挑戦作となっている。

この日、トライベッカ映画祭での様々な出来事を臨場感たっぷりにファンに語った塚本監督。『鉄男』シリーズでは「音」にこだわりがあり、大音量で上映するのが重要なのだそうだが、今回のプレミアでは、「スタッフの人にどんどん音を大きくしてもらって、一番いい状態になるまで加減したら、スピーカー壊れちゃって(笑)」と、音にこだわったがゆえのハプニングが起こってしまったという。「僕、音上げるの大好きなんですけど、正直に言うと、上映中『ちょっと上げすぎちゃったかも。ゴメンナサイ!』って思ってたんですよね」と、上映時を振り返った監督は、「後で『気持ちよかった』という感想も聞いて、丁度よかったのかな? とも思うんですけど。鉄板みたいなスピーカーがバキバキ鳴っていて、映画の音じゃないのに良い効果音になっていました(笑)」と、軽妙に当時の様子を語り、イベントに集まったファンは爆笑し通しだった。

北米プレミアで初披露された本作完成版のエンディング曲は、アメリカのアーティスト「ナイン・インチ・ネイルズ」が本作のために制作。同楽曲は、元々CD化はされない予定だったが、この日の3日前、本作のサウンドトラックへの収録許可が下りたという

上映時間が3D映画『アバター』の1/3ながら、制作費用は1/240という本作。これに塚本監督は「結構(『アバター』の予算に)迫ってんじゃ~ん、と思いました。というか、逆に『鉄男』の240倍でよく『アバター』できたな、結構低予算! 」と斬新なコメント

また、映画祭主催者の1人であるロバート・デ・ニーロの大ファンで、「俳優の中で一番好き。お酒を飲むと必ず物まねもするくらい」と言う監督。デ・ニーロと写真を撮った後カメラが壊れてしまい、「『俺以外に何を撮るものがあるんだ』と言われているかと思った」と爆笑エピソードも明かした。

『鉄男 THE BULLET MAN』は5月22日より、シネマライズほか全国ロードショー

配給 : アスミック・エース (C) TETSUO THE BULLET MAN GROUP 2009