東京証券取引所グループは27日、同社代表執行役社長の斉藤惇氏による定例の記者会見を行った。斉藤氏は、同社の2010年3月期決算が36億200万円の最終赤字になったことについて、「普通の事業赤字とは違う」とした上で、2011年3月期の最終損益について「粛々とやれば黒字になる」との見通しを示した。
東京証券取引所グループの2010年3月期決算は、営業収益(売上高に相当)が前期比9.6%減の606億6,500万円、営業費用が同13.4%減の458億4,000万円となり、前期比4.6%増の148億2,400万円の営業利益を計上。経常利益は、174億2,500万円だった。だが、これに誤発注による損害賠償金132億円を特別損失として計上するなどした結果、最終的には36億200万円の最終赤字となった。
斉藤氏は、2期連続の最終赤字になった結果について、「赤字は赤字であまり好ましいことではない」としながらも、誤発注による損害賠償金などの「エクストラオーディナリー(異常)」(斉藤氏)な事態によるものであると指摘し、「普通の事業赤字とはちょっと違う」と説明。2011年3月期の業績の見通しについては、「粛々とやれば黒字になる。黒字は出ると思う」と自信を示した。
営業収益(売上高に相当)が減少を続けていることについては、「東証もarrowheadとか、Tdex+システム(オプション取引)を導入して取引スピードを上げるなどしているが、新興企業を数多く上場させないと、国として、市場としての活力が出ない。財界、上場企業、行政と一緒になって、(この課題を)なんとか解決していかなければいけない」と述べた。
斉藤氏はまた、東京証券取引所グループが4月15日開催の指名委員会において、また東京証券取引所が27日開催の取締役会において、それぞれ6月22日開催予定の定時株主総会とその後の取締役会に付議する役員候補者を決定したことを報告。併せて、東京証券取引所グループと東京証券取引所の西室泰三会長が、両社の取締役を退任することも報告した。 西室会長の後任について斉藤氏は、今のところ、後任を探す予定はないことを明らかにした。
また斉藤氏は会見で、四半期決算短信の開示制度について、決算日後30日以内としてきた目標を取りやめることも明らかにした。
さらに、先物取引のシステムを、現在オプション取引で使用されているTdex+に移行し、2011年半ばには稼動できるよう準備を進めることについても報告した。
会見に参加した記者から質問があった、米証券取引委員会(SEC)がゴールドマン・サックスを訴追したことによるマーケットへの影響については、「売り手がいて、プロの方が買いたいと言ったとあれば、売り手と買い手を結びつけた商品にすぎない。そのこと自体に司法や行政が介入して(しまったら)市場理論が成り立たないということで、市場がリアクト(反応)したのではないか」とし、「速やかに明確な結論が出ることを望む」と話していた。