日本証券業協会は20日、定例会見を開催した。安東俊夫会長は、米証券取引委員会(SEC)が証券詐欺容疑でゴールドマン・サックスを提訴したことについて、「推移を見ていきたい。世界において金融規制はある種の潮流になっているが、全世界同じような規制強化はそぐわない」と述べた。
会見では、増井喜一郎副会長が、2009年度の協会員に対する監査結果など自主規制会議の議案について説明、大久保良夫専務理事が、バーゼル銀行監督委員会の市中協議文書に対するコメントなど証券戦略会議の議案について説明した後、安東会長に対して、記者から質問があった。
未公開株に関わる詐欺被害が増えていることについての質問で、安東会長は、4月から専用コールセンターを設けて対応していると述べ、4月1日~19日まで計268件、1日平均約20件の相談があったことを明らかにした。相談者は、60歳以上が約8割で、比較的高齢の人からの相談が多いとし、被害の実態について、いわゆる「劇場型」の犯罪が増えていると述べた。
その上で安東氏は、被害を防ぐためにやるべきこととして、(1)被害の未然防止、(2)詐欺行為の取り締まりを挙げ、1の未然防止について、「うまい話はまずないということを、いろんな場を使って注意喚起していく。専用コールセンターも、その一助となるのではないか」と述べた。詐欺行為の取り締まりについては、専用コールセンターに寄せられた情報などについて、定期的に警察に提供することなどを挙げた。
米証券取引委員会(SEC)が証券詐欺容疑でゴールドマン・サックスを提訴したことについての質問では、「金融規制強化がいろんな場面で顕著になっている。SECとゴールドマン・サックスの主張は明らかに対立しており、どちらがいいかコメントできない」とした上で、「検証が行われていく推移を見ていきたい」と述べた。
また、「アメリカとヨーロッパでは、金融規制の強化に温度差があったが、今回に関しては、ヨーロッパもそれなりの金融規制強化をしている」とし、「世界においては、金融規制強化がある種の潮流になっている」と述べた上で、「(そうした潮流は)行きすぎてしまう恐れがある。それぞれの国の状況、それぞれの国に起こった事実などを冷静に判断し(て対応すべきで)、一律に全世界同じような規制強化はそぐわない」と述べ、各国の実情に応じた規制をすべきとの考えを示していた。