NY原油先物(5月限)
FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。米証券取引委員会(SEC)が証券詐欺罪でゴールドマン・サックスを提訴したことで、リスクマーケットは全面安の展開になった。マーケットにとって、メインプレイヤーであるゴールドマン・サックスの取引が縮小もしくは停止すれば、商品のみならず株式や外国為替などの取引にも大きな影響が生じる可能性があり、先行き不透明感を嫌った向きから、原油市場でも手仕舞い売り優勢の展開となった。
現段階ではゴールドマン・サックス一社に対する提訴となってはいる。しかし、今後は他の金融機関へも波及する懸念が市場では広がっており、リスク回避傾向が強まっている。これまで良好な起業決算、主要経済統計を背景に買われてきた株式相場が反落する一方で、安全資産とされる債券市場に資金が流入しており、米長期金利の低下が起こっている。それにより、為替市場では、今まで高金利通貨買い・ドル売りのドルキャリートレードが急速に巻き戻されており、ドル高によるドル建て商品相場全体の上値が圧迫されている状況となっている。現時点では、この問題が長期化するかどうか分からない。しかし、先行き不透明感が強くなっていることは間違いなく、まずは今のところ手仕舞い売りがベストの選択肢と判断した向きが多いようだ。早い段階で良好な実体経済にマーケットの関心が戻ってくるかは、他の金融機関へもこの影響がどの程度波及するかが鍵を握りそうだ。
ただ上記のように他の市場も絡め多角的に見ると、やはり今回の原油市場における売り圧力は続く公算が高い。
テクニカル的には、例の2月5日からのアップトレンドを早速ブレイクしてしまうのか、これがポイントだろう。
安値は82.52ドルとなっており4月13日の82.51ドルが意識されたようにも見てとれる。また、一目均衡表の基準線の82.98ドルが支えになったようにも見える。更に遅行線も実線に触れにきていることを考えると、いろんなサポートがここで働いたことになると思われる。と、ここまでなら、オーバーシュート気味の買い戻しが入るように見える。
しかし、オシレーター系を見ると短、中期ともデッドクロスを形成しており、目先は戻り売り傾向に変わったと可能性が高いと思われる。週明けの時間外取引も続落となっており、現在(18時時点)82.50ドルを割れている。このまま通常取引も回復することが出来なければ、トレンドは完全にブレイクとなり、テクニカル的に売り転換と判断するには十分 と考えられる。