メモはもっと自由に
――初めに、奥野さんのメモに対するお考えをお聞かせいただけますか?
メモはもっと自由に書いてもいいのでは、と思っています。最初から完成したメモを書こうとするのではなく、自分が今話していることやこまごまと考えていること、あるいは落書きでもいい。紙とペンのメリットを最大限に利用して、自由に書くのが一番です。書いたものは後で捨ててもいいし、編集してメールで送ることもできるので、「メモはこう書かなくてはいけない」と気負う必要はまったくありません。
私も学生時代はノートを分冊にしたり書類をファイリングしたりしていましたが、新聞記者になってからはそんな余裕はありません。どうしても物を粗雑に扱わざるを得ない状況となり、独自のメモ術を身につけていきました。
私はノートをどんどん使い倒していくのですが、ある程度物を浪費しないと見えてこないこともあります。今は昔のように物がない時代ではありませんし、道具を大事にしようという気持ちが無意識の遠慮になっている場合もあります。そういう意味できれいにメモをとろうという意識は邪魔なのです。ノートは折ってもいいし破ってもいい。学生と違って先生に提出することもないのですから、自分が使いやすいように使えばいいのではないでしょうか。
――A6、あるいはA5サイズのノートをすすめているのはなぜですか?
「サイズが絶対」ではありませんが、持ち歩いて使う癖をつけてもらうためにA6サイズをおすすめしています。ノートはとにかく肌身離さず持ち歩き、使いまくることが大切です。ちなみに私は今年からA5サイズに変わりました。記者時代と違って机に向かう時間が増えましたし、英語の勉強も始めたからです。英語だけは分冊にしようかと思ったのですが、ノートを複数持ち歩くのが面倒ですし、忘れてしまうと勉強ができなくなるので同じノートに書いています。
デスクワークが多い人や、いつもカバンを持ち歩く人ならもっと大きいサイズも使えますし、外回りが多い人は胸ポケットに入るサイズがいいでしょう。もちろん一番大事なのはサイズではなく、常に持ち歩いて書くことです。
――高級ノートを使うことはありますか?
以前高級なリングタイプのノートを使っていたことがあります。いいものなのですが、どうしてもきれいに書かないといけない気がしますし、一冊が千円近いのもどうかと(笑) 結局のところノートは消耗品ですから、それにコストがかかってしまうのはよくないと思うんです。今は安くて品質のよいものがたくさんあるのだから、それを使うのはビジネス戦略として当然のことだと思います。