すべてをこなすクラブメッド独自のスタッフ「G.O」

当然ながら、メインダイニングは他のホテルでは考えられないほど熱気を帯び、ほとんどのテーブルで話が弾み、笑い声が上がる。その中でも目立ったのが、大きな声でゲストの誕生日を祝っている男性スタッフ の姿。一緒にお酒を飲みながら、先頭に立って歌を歌い、お祝いをしている。スタッフが一緒になってお酒を飲むなんて、実に変わったホテルだが、さらに彼がこのホテルの総支配人(クラブメッドでは、シェフ・ド・ビラージュという)だと聞いてビックリした。それはそうだ。総支配人が、ゲストと一緒になってお酒を飲んで歌うなんて話はこれまで聞いたことがないし、見たこともない。しかし、さらにこの後、驚愕のシーンに出くわすことになる。

それは、食事の後のショーの時間だった。クラブメッドの施設内にはシアターがあり、そこでさまざまなショーが繰り広げられる。当日は「ヒップホップショー」と名付けられたショーが用意されていた。お笑いあり、踊りあり、手品ありの一大エンタテインメントで、まさにミニラスベガスといった内容だ。大人から子供まで、すべてのゲストが一体となって盛り上がることができる。

シアターでは、大人から子供まで楽しめる楽しいエンタテインメントが繰り広げられる

雰囲気はすでにラスベガス。日本のリゾートホテルでは、なかなか見ることができない見事なショーだ

しかも、舞台をよく見ると踊っているダンサーの1人は、筆者を客室に案内してくれたモルディブ出身の従業員である。彼がなぜダンサーとして登場しているの? さらにもっと驚いたのは、マジックショーで見事な技を披露しているマジシャン。なんと先ほど一緒に飲んでいた総支配人ではないか。しかもその芸のテクニックはプロ並みで、見事としか言いようがない。

次々に高度なマジックを披露するマジシャン。その正体はなんとカビラビーチの総支配人である

実は、クラブメッドのスタッフは、G.O(ジーオー)と呼ばれ、世界各国から集められている。彼らは、レセプション、レストラン、スポーツインストラクターなどの専門の業務の他に、食事に同席したりと、あらゆる面でゲストのサポートをしてくれる。つまり、食事の時間にお酒を飲みながら話をするのも彼らの役割なのである。そして、世界各国のすべての総支配人が手品が得意かどうかは不明だが、G.Oショーの時間にエンターテイナーとして芸を披露するのも総支配人を筆頭に彼らの仕事なのだ。

出迎えから、客室への案内、エンタテインメントショーへの出演、食事中の話相手まで、すべての場面でG.Oがゲストのサポートをしてくれる。もちろん、総支配人も一緒に…

モルディブ出身の彼になぜ日本に来たのか訪ねたところ、「モルディブのクラブメッドで働いていたんですが、日本に行きたくてずっと異動を希望していました。ようやくそれが適って、ここで働くことができるようになりました」と答えてくれた。なるほど、世界規模で事業を展開するクラブメッドにとって、モルディブから日本に来ることは「異動」という範疇になるのである。

常に気さくに話しかけてくれたモルディブ出身のG.O。朝から深夜までさまざまな仕事を本当によくこなしている。しかし、疲れは微塵も見せずにゲストに笑顔で接してくれるのだ