――囲碁にはどんな効果がありますか。
万波 : 囲碁って、性格がすごく出るんですよ。打っている碁を見ると、攻めが好きなタイプ、守りを重視するタイプなど個性がありますし、囲碁を打つ態度からも、負けず嫌い、温厚なタイプなど性格が表れます。
カップルで打てば、「普段は大人しい彼女に、こんなに激しい面があったとは……! 」など、相手の思わぬ面を発見できるかもしれません。婚活にも役に立つかもしれませんね(笑)。
夫婦であれば、強い方が負けてあげるのが、夫婦円満の秘訣かと思います。真剣勝負で身内に負けるとくやしさ100倍ですから。強い方が弱い方に教えてあげるような感じがいいのではないでしょうか。
子どもさんにも、囲碁はいい影響があるといわれています。計算などの基礎能力が向上しますし、精神的な成長にもつながるようです。勝ったときには「負けた相手を思いやる心」、負けたときには「悔しさをバネにがんばる気持ち」を学ぶことができるんだと思います。
――このほか囲碁フェスティバルの見所を教えてください。
万波 : 「妙花」という、プロ棋士同士の9路盤公開対局があります。1手10秒以内で打つ真剣勝負です。梅沢由香里女流棋聖など、6名の棋士がトーナメントを戦います。9路盤対局ですので初心者の方でも楽しく観戦できますし、プロの真剣な対局姿を間近に見られる良い機会だと思います。
また、プロ棋士やトップアマと9路盤で対局できるコーナーがありますので、気軽に挑戦してください。
ちなみに、囲碁フェスティバルに向けて発行されたフリーペーパー『碁的』第二号では、「IGO FESTIVAL 2009 囲碁のある生活」の徹底ガイドが掲載されているので、こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。このほかにも、梅沢由香里女流棋聖や王唯任四段、高梨聖健八段らが登場。もちろん私、万波佳奈も出ております。オフィスで、カフェで、電車で、リビングで……ファッション雑誌をめくるような気軽さで、囲碁に触れてほしい。そんな思いを込めて制作しました。普段は見られないプロ棋士の意外な姿も見られますので、是非お手にとっていただきたいですね。
――プロ棋士の仕事ってどのようなことをするのですか。
万波 : 大きく分けると、対局(試合)と普及活動ですね。対局は囲碁棋士にとって最も大切なもので、平均すると週に1回、多くて2回行います。国内のトーナメントだけで、男女混合のものが10以上、女性だけのものが3つあります。他にも、国際戦というものがあって、中国や韓国のプロの人と戦ったりするんですよ!
もう一つ大事な仕事は、囲碁の普及活動です。アマチュア大会での指導や審判として、地方にいくことが多いですね。その他には、テレビの司会、解説、本作り、メディア出演などがあります。今回の囲碁フェスティバルも、大がかりな普及活動ですね。
――プロ棋士として、最も大切だと思うことは何でしょう。
万波 : テクニックを磨くことはもちろんなんですが、メンタル面が一番大切かもしれませんね。対局前と対局後は、棋士はすごく特別な気持ちになります。対局前は緊張感でピリピリしています。
タイトル戦を戦うときなんかは、対局が決まった時点(約1~2カ月前)からずっと頭にそのことがあります。寝ても覚めても、何をしていても、どこかで碁のことを考えている、というところでしょうか。
対局後も、負けたらもちろん泣いてしまうぐらい悔しいですし、勝ったらすべてを出し切ったという感じでぐったりします。
――万波さんの息抜き方法を教えてもらえますか?
万波 : 息抜きは……家の掃除、かな。やらざるを得ないってこともあるんですけど(笑)。碁の勉強をして掃除をすると、あっという間に一日が終わってしまうんですよ。あとは、お風呂で本を読んだり、料理をしたりなどです。
それと、棋士同士で遊んだりします。棋士同士は、すごく仲良しなんですよ! 男女みんなで飲みに行ったり、合宿に行ったりしています。スポーツが好きな人が多いので、山登り、テニス、フットサルなど、アクティブな遊びをすることも多いですね。もうすぐタイトル戦で戦う予定の相手と、ご飯を食べにいったりすることもありますよ。
――そんなに仲良しなんですね! そういえば、囲碁棋士同士の夫婦が多いと聞きましたが。
万波 : ええ、棋士同士の夫婦は20組くらいいますね。仕事を分かり合えることが大きいのではないでしょうか。棋士は対局の日以外は家にいることも多いので、育児などを協力してやる夫婦も多いようですよ。
――万波さんも、結婚相手は同業の方がいいですか!?
万波 : 私は同業かどうかにはこだわりませんね(笑)。でも、囲碁のことは知らなくても、囲碁棋士の仕事について理解してくれる人がいいです。負けたときに、何もいわずに「おかえりなさい」って言ってくれるような人がいいですね。