魚類や甲殻類などの生物の体を透かし作った『透明標本』が話題を集めている。同標本は、「たんぱく質を酵素により透明にし、硬骨を赤紫、軟骨を青色に染色をする」という骨格研究の手法として確立された形態で、鉱物のように静謐で幻想的な美しさを持つものだ。

透明標本「カガミダイ」

同「ヤマトカマス」

同「ニホンアマガエル」

透明標本「アオリイカ」

同「カニ類」

透明標本作家で同標本紹介サイト「新世界」運営者の冨田伊織氏は、北里大学水産学部在学中の授業で同標本と出会い一目惚れ。「現実離れした美しさ」に魅せられ、同標本の製作を始めた。同標本は完成までに、小さい作品だと約3カ月~、大きい作品では約1~2年半もかかるほか、製作途中で形が崩れたり、染色を失敗したりする場合もあるという。また、標本にするサンプルの入手に苦労するといい、「漁師さんに頼んだり、市場で拾ったりしています」と冨田氏。

さらに冨田氏は「透明標本の魅力をより多くの人に知ってもらいたい、今後はコウモリや深海魚の透明標本も作ってみたい」と夢を語った。

同標本は現在、東急ハンズ渋谷店2F、新宿店7F、名古屋店7Fおよび、箱根彫刻の森美術館ミュージアムショップ(神奈川)、鱗粉堂(名古屋)などで購入可能。価格は1,500円~で、東急ハンズと彫刻の森美術館ではポストカード(1枚157円)も販売している。

写真集「[新世界]透明標本~New World Transparent Specimens~」表紙

このほか16日には、同標本44種類を新たに撮り下ろした写真集「[新世界]透明標本~New World Transparent Specimens~」が小学館から発売される。同写真集は冨田氏自身が「素晴らしい」と絶賛する出来とのことで、美しく神秘的な透明標本の世界を堪能できるという。A12取判の全72ページで、価格は1,575円。