テレビ東京の開局45周年記念ドラマ『白旗の少女』(9月30日放送)の記者会見が18日、東京・虎ノ門の同局で行われ、主演の黒木瞳、少女時代を演じる八木優希、主人公のモデルで原作者の比嘉富子氏が出席した。

左から黒木瞳、八木優希、比嘉富子氏

同作は、太平洋戦争末期の沖縄戦で、当時7歳だった富子が、アメリカ軍に白旗を掲げて降伏し、家族とバラバラになりながらも一人生き抜いた実話をドラマ化したもので、黒木は戦後、大人になった富子を演じる。戦争のドキュメンタリーで、この"白旗の少女"の姿を何度か見たことがあるという黒木は「ただ漠然と、この少女は何だろうくらいにしか思ってなかったんですが、今回、この少女の真実を知ることができました。生きて地獄を見たこととか、(比嘉)富子さんの(当時の)状況は想像することしかできない。でも、ドラマを観てくださる方に、こういう悲劇を繰り返してはいけないと伝えたい」と語気を強めた。

また、実際に比嘉氏と対面し、「思い出したくない、封印したいはずの思い出を、一つずつ語って伝えなければいけないという熱い思いを感じました。今でも世界のどこかで戦争は起きています。役者として人として、ドラマに参加することがわたしにできる一つのことと受け止めて、後世に伝えていきたい。是非、学校などでも上映して欲しい」と、比嘉氏の思いに触れ、改めて作品の意義をアピールした。

黒木は、初めて脚本を読んだときの感想を、「本当なのか信じられないぐらい、真実ならすごいことだと思った」と振り返り、壮絶な富子の戦争体験に思いを巡らせた

一人で生き抜いた少女の富子を「すごい…」と言葉を呑む八木は、「まだ 戦争をやってる国の人にも、ドラマを観てもらいたい」と世界平和を訴えた

黒木と八木を"素晴らしい役者"と絶賛する比嘉氏は、「今日は自分の一生の記念になる日」と、完成した作品と二人を前に胸を詰まらせていた

一方、戦時中の少女時代を演じた八木は「3秒に1人が死んでしまうという激しい戦争の中を、6歳の少女が一人で生き残れたのはすごいと思う。でも、戦争を経験したエキストラの方から、戦争は大切な人が亡くなるのだから、生き残れば嬉しいってわけじゃないって教えてもらいました」と撮影現場の沖縄で学んだことを明かし、比嘉氏も「非人間的になるのが戦争。そんな嫌なものには蓋をして、見なかったことにした方が良かったのかなと思ったこともありました。でも、このような形で取り上げてくださって本当に感謝しています。今は平和なのに、子供たちの自殺が多いのはなぜ? って思う。一度しかない命、一度死んだら引き返せないのだから、このドラマを通して、命の尊さを皆さんに分かってもらいたい」と訴えた。

ドラマ『白旗の少女』(9月30日 21:00~)はテレビ東京系にて放送される。