この夏のボーナスの金額は、大企業でも20~40%減収されたそうです。大企業ですら大幅な減収ですから、中小企業となるとそれ以上の厳しい状況になっているのではないでしょうか。景気の明るさが見えない中、ボーナスや給料が減ることで日々の生活が厳しくなり、クレジットカードでキャッシングをしたり、消費者金融会社から直接お金を借りたりする人が増えています。

このクレジットカードのキャッシングを利用している人に、是非知って欲しいのが貸金業法改正のことです。最近、クレジットカード会社から「年収証明書類」の提出のお願いといったような書類が届いていませんか。まさにこの貸金業法改正があったことで、キャッシングの内容が変わろうとしています。

年収の3分の1を超えた借り入れができなくなる

この貸金業法改正とは、最近急増している多重債務問題を解決するために、従来の貸金業法を2007年12月に改正したものです。悪質な業者を排除するため、貸金業を始める場合の総資産額を引き上げたり、夜間に加えて日中の執拗な取り立て行為などの取立規制を強化したりなど、貸金市場の適正化を目的としています。

そして、クレジットカードの利用者に最も影響があるのが「総量規制の導入」です。貸金業法改正は2007年12月以降段階的に施行されていますが、この総量規制の導入は2010年6月までに施行される予定です。

総量規制と聞くと難しそうですが、簡単にいうとキャッシングする際の利用額が規制されるということです。たとえば、

  1. 自社からの借入残高が50万円超となる貸し付け、または、
  2. 総借入残高が100万円超となる貸し付け

の場合は、年収などがわかる資料を利用者から集めるように、貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づけています。

これにより、前述したクレジットカード会社からの「年収証明書類」を提出してくださいという封書が届いているのです。複数の借り入れがある場合、それぞれの会社に年収証明の書類を提出する必要が出てきます。ちなみに、年収を証明する書類とは、たとえば源泉徴収票、確定申告書、納税通知書、年金通知書などを指します。

そして、最終的には借入額が年収の3分の1を超えている場合は新規の借り入れができなくなってしまいます(不動産購入や自動車購入のための貸し付けなどは外れる)。もし、返済能力などを調査した結果、借入残高が年収の3分の1を超えている場合、たとえば年収300万円の人が100万円以上借りているような場合は、新規のキャッシングの利用ができなくなります。

この総量規制の導入は2010年6月までということで、まだまだ時間に余裕があるのに、なぜ今からと思うかもしれません。しかし、カード会社としては、施行された後に年収などの証明書類を集めて精査していたのでは、キャッシングの申し出にすぐに対応することができないので、キャッシング枠を持っている人などに対して今から対応しているのです。

カード会社に年収を知られるのは嫌だと思い、もしこの年収証明を提出しなかった場合はどうなるのでしょうか。その人のキャッシング枠を設定することができないので、今後キャシングの利用を一時停止する場合があります。

約8割の人が内容を把握していない

実際、この改正貸金業法の総量規制などの内容について、どの程度の人が知っているのか気になるところです。日本貸金業協会が2月に発表したアンケート結果を見ると、貸金業法改正について、知っていると答えた人は2割程度で、多くの人にまだ認知されていないような状況です。

また、実際消費者金融会社から借り入れがある人の中の、約4割の人が年収の3分の1を超える借り入れがあると回答しています。となると、この約4割の人は新たなキャッシングができなくなるということです。

利用できる金額を把握しておく

クレジットカードを持っている人は、これからどうすればいいのでしょうか。元々キャッシングは利用しないという人は、カードについているキャッシング枠を外しておく方法があります。実際借りている人、しかも年収の3分の1を超えているような人は、追加のキャッシングをしなくてもいいような生活に改める必要があります。もし総量規制のことを知らずにキャッシングを続けていると、ある日突然キャッシングができなくなる可能性があります。

今まで何の気もなしにクレジットカードを申し込み、財布の中のカード入れにはたくさんのカードが入っていると思いますが、一度、自分が利用しているクレジットカードを整理してみましょう。年会費無料ならいざ知らず、年会費がとられているにもかかわらず利用していないカードもあるはずです。頻繁に利用するカードは2枚程度に残して、当たり前のことですが、自分がいくら利用できるのかあらかじめ把握しその範囲内で利用することが大切です。