保険の見直しや新規加入を考えるときには、まず自分に今必要な死亡保障額から考えるようにするのがいいでしょう。

自分が死亡した時に必要な保障額を「必要保障額」といいますが、これは、万一のときに、遺族が生活していくのにかかる必要資金の総額のことです。たとえば、家族の1年分の生活費が300万円として、自分が現在30歳なら、65歳までの生活費を保障しようと考えると、300万円×35年=1億500万円が必要なことになってしまいます。

そんな、とてつもない金額になるのか! とびっくりしますが、実際は、自分に万一のことがあれば、厚生年金・国民年金から遺族年金の支給があるほか、勤めている会社からの退職金があったり、手持ちの貯蓄も持っていたりするはずです。そういった手当てできるお金を差し引いた金額が、必要保障額になります。

ところで、遺族年金という言葉を初めて聞く、という人も多いかもしれません。みなさん、何らかの形で厚生年金や国民年金に加入しているのではないでしょうか。これは、老後に年金をもらうために支払っていると思っている人が大半です。実は年金には老後の老齢年金以外に、自分が障害を持ったときの障害年金、万一のことがあって家族が残されたときの遺族年金という制度もあるのです。

遺族年金は加入中の年金の種類によって、支給条件や金額が異なります。夫が会社員で厚生年金に加入している場合、厚生年金と国民年金の両方から支給され、自営業などの場合は国民年金からだけ支給されます。ですから、一般に会社員の家族のほうが、高めの遺族年金がもらえます。遺族年金を支給対象は、18歳未満の子どものいる妻と子ども。18歳以上の子どもは支給されないので、大学進学費は遺族年金では賄えない点は要注意です。

そういった点を考えて、必要保障額を考えていくと、大体の目安額は下表のようになります。

※上記の子どもありは、1~2人のケース。
※※子どもが3~4人の家庭では、夫の死亡保障を1000万円程度増額する。共働きの家庭の妻も500万円程度増額を。
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遺族年金は子どものいない妻や18歳の年度末を過ぎている子どもしかいない妻は受け取れません。また、自営業の家庭は支給額が少なめです。また詳しく説明しますが、持ち家の場合、別に団体生命保険というものに加入するので、万一の場合、住宅ローンの支払いが免除になります。その分、家賃額は差し引いて考えられるといったこともあります。それらを加味すると、賃貸住まいの子どものいる専業主婦家庭(自営業)の必要保障額が一番高くなります。

表はあくまで目安ですので、自分の場合はどうなのか、詳しく知りたいときは、専門家などに相談するのも一考です。

明日はライフステージ別保険見直し術についてご紹介します(8日10時掲載)。